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ジェフリー・スペクターの尊厳死

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尊厳死関係の記事をサーチしていて、わかり易くまとめられた記事を見つけた。

NHKの朝の番組らしい 『キャッチ!世界の視点』 を紹介する記事で、リンクはコチラ

 

 

この記事中で触れられている英国人ジェフリー・スペクターさん(54歳)は、

今年5月にディグニタスで尊厳死を遂げた。

こちらでもニュースになったので、今日は彼について書きます。

 

         

 

成功したビジネスマンのジェフリーさんは、活動的で大のスポーツ好き。

6年前に腫瘍が見つかり、悪性と診断された5年前にディグニタスに登録した。

 ジェフリーさんの妻エレインさん(53歳)、娘のケリーさん(21歳)、コートニーさん(19歳)、カムリンさん(15歳)は

尊厳死に反対したものの、最終的にジェフリーさんの意志を尊重した。

末娘のGCSE試験が終わるまで待つつもりだったが、病状が悪化し両手の機能が失われ始めたため、

予定を繰り上げざるを得なかった。

 

 

 

 脊髄内部とその周囲にできた悪性腫瘍は、身体を麻痺させてしまうリスクが高すぎるため手術不可能。

治療にもかかわらず大きくなり続けた腫瘍は “時限爆弾” のようなもの。

いつジェフリーさんの首から下を麻痺状態にするかわからない。

 

「家族や友人は尊厳死などするなと私に懇願し、スイス行きをやめるよう説得しようとした。

しかし私は尊厳死を、最もましな選択と考える。

家族にとっても、長い目で見ればこれが一番ましだと思う。

家族も私の決意を受け入れてくれた。

死を怖れてはいない。 しかし四肢麻痺になるのは耐え難い。

私はいつその状態になるかに怯えながら生きるより、死を選ぶ。」

 

 ジェフリーさんの家と、バケツ・リストにあった “スピットファイアの操縦” を成し遂げた日の彼。

 

 

チューリヒでの最後のインタビューで、ジェフリーさんは語った。

 

「私は自分の人生の最終段階を自分でコントロールしたい。 私は健康で活発だったが、2008年に背中の痛みで始まったものが

私の人生をひっくり返し、人生でもっともひどい決断をしなければならなくなった。

私は寿命を待たずにあの世に行くが、怖れはない。 腫瘍はおとなしくなってくれるかもしれないが、リスクは冒せない。

私を批判する人もいるだろうが、やめて欲しい。

自らがその人の立場に立ったのでない限り、他人を批判するべきではない。

 

両脚の麻痺だけだったら、耐えられただろう。 しかし首から下が麻痺してしまったら・・・

話すことすらできなくなったら、どんな希望があるというのだろう・・・

私は尊厳と誇りを持つ、独立心旺盛な人間だ。

自分でお茶を飲み、電話をかける。 こういったことを自分でしたい。

家族は尊厳死に反対するが、私は長期的にはこれが家族にとって最善と信じる。

家族にはこの先も、良い人生を送って欲しい。

男は、家族の最善を願うものだ。 自分の最善ではなく。 子供たちに、人生を満喫して欲しい。

世話をされた私に回復の見込みがあるのならまだしも、ないのだから。

そして私は、自分にも尊厳を保つ人権があると信じる。

 

英国で尊厳死が違法なため、私は早く死なざるを得ない。

身体が麻痺してしまったら自力ではスイスに行けなくなり、家族に連れて行ってもらえば彼らが告発される可能性があるからだ。

英国で尊厳死が認められていたら生き続けて、腫瘍を切除する手術にも挑んだことだろう。」

 

  家族や親しい友人たちと最後の夕食を楽しんだジェフリーさんは、翌日ディグニタスの助けを借りて

あの世へと旅立った。

 

この写真が撮られて16時間後、ジェフリーさんは還らぬ人となった。

 

 彼の死後、遺族は自宅から声明を発表した。

「ジェフリーは自ら切望していたように、意志を貫き尊厳をもって自分の人生を終えました。

彼は麻痺した身体で家族に世話になりながら生きたくないということを、とくに明らかにしていました。

今年初めに病状が悪化したため、彼は、四肢が麻痺してしまう日が近いと怖れるようになったのです。

困難で苦痛に満ちた日々でしたが、私たちは家族として、彼の決意を100パーセント尊重し支持しました。

今は悲しみに打ちひしがれていますが、同時に彼が安息の中にあることも理解しています。」

 ニュースでジェフリーさんのことを知った人々に、感謝の言葉も。

「ジェフリーの勇敢な決意に対する温かいお言葉や支持のメッセージに、心から感謝します。

私たちは、素晴らしい夫/父親/兄弟/友人であったジェフリーのことを、かつてないほど誇りに思っています。」

 

 

2009年に手術不可能な悪性腫瘍と診断されたジェフリーさん。

死ぬ権利を求めていたトニーさんの戦いを、見守っていたに違いない・・・・・

ジェフリーさんが怖れたまさにその状態――首から下の全身麻痺――に陥っていたトニーさん。

(詳しくは 『死ぬ権利を求めて』 新たな闘い』 でどうぞ。)


ジェフリーさんのご冥福をお祈りします。

 

 

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