その後の男爵邸で書いたように、先月の今頃、仕事環境は大きく改善されたんです。
奥方様が、私たちに穏やかに接するようになってくださったおかげで。
でも私はスターリング・ケアに愛想をつかしていたし、ネットで週給がもっといいケア・サービス提供会社を見つけたので、
仕事がオフだった先週、就職応募書類を送ってもらって記入し返送しました。
そのうえで4日前の月曜日、男爵邸での一週間の住み込みに戻ってきたわけです。
ところが先週住み込んでいたマーガレット(も転職する予定ですでに辞表を提出済み)、いろいろとあって心底嫌気がさしたので、
来週最後の一週間のお勤めが残っていたにもかかわらず、「もう戻って来ない!
」と。
その『いろいろ』は、突き詰めてみればスターリング・ケアのマネージャーに起因しました。
その後の男爵邸にも以下の通り書きましたが、
8日前の家族とのミーティングのあと、てっきりケア・マネージャーはミーティングの結果を文書化して同僚のマーガレットと私に
送ってくれるものと思っていました。なのになしのつぶて。驚いたことにマネージャーときたら、ミーティング翌日から
ホリデーに入ったそうなんです。信じられない。
ミーティングで決まったことはどれも、実際に男爵邸で働いている私たちにはすぐさま知る必要のあること。
翌日からホリデーが入っていたって、ミーティングの要点だけでもマーガレットと私にメールしてくれられたのでは?
そんな訳で私は一昨日の申し送りの際も、マーガレットに、マネージャーから口頭で伝えられた中で覚えているかぎりの
新しい“ルール”しか伝えられませんでした。
その後もマネージャーってば、ミーティングでの決定事項の内容を、未だに私たちに送ってくれてないんです(呆)!
ミーティングがあったのは5月7日、ちょうど一ヶ月前だというのに!!
奥方様に関してマーガレットが一番気分を害していたのは、奥方様が自分のオートマ車をマーガレットに運転させようとしないことでした。
「マーガレットは私の車が嫌いみたい」と周囲に『言いふらして』。
私は自分の車の保険にビジネス・カバーを付けられたので自分の車を仕事に使えます。
それは例えばお二人のために食料品の買出しに行ったり、男爵殿を医者や歯医者のアポにお連れしたりですが、
マーガレットの車の保険会社はなぜかビジネス・カバーを付けてくれないので、仕事のため運転する際は、奥方様のオートマ車を
借りなければなりません。そしてマーガレットは、すでに男爵殿のご長男に運転を見てもらい、OKをもらっていました。
さて、なぜか5月7日のミーティングの際、「今後マーガレットは奥方様のオートマ車に早く慣れられるよう、時間のあるときはオートマ車を
運転してちょこちょこ外出すべし」ということで合意に至っていたそうなんです。でもミーティングの内容は私たちには口頭で
伝えられただけで、『マーガレットはオートマ車を練習のため運転すべし』などということは私たちは知りませんでした。
一方奥方様は、マーガレットがオートマ車を運転する気配がないので、(マーガレットは私の車が嫌いみたい)と考えたのでしょうね。
他方マーガレットは、(私はご長男にOKをもらっているし運転したいのに・・・勝手なことを周囲に言いふらして!)と怒りフツフツ。
男爵殿と奥方様が一緒に歯医者に行かなければならなかったある日、念のためマーガレットも同行を乞われたのですが、
奥方様がマーガレットの意向を訊くことなくさっさと自分で運転したので、マーガレットはほとほと嫌気がさし辞職の決意を固めたのです。
そして極めつけは、先週の金曜日。
マーガレットはその週の月曜日に辞表を提出していました。すると驚いたマネージャーは何とかマーガレットを引き止めるべく、
住み込み中のマーガレットに「自分と話せるよう時間を作って欲しい」と再三言ってきました。でもマーガレットは気を変えるつもりはなかったし、
いろいろと忙しかったので「時間がない」と返事していました。すると業を煮やしたマネージャー、先週の金曜日の午後、
男爵邸の駐車場で休憩から戻ったマーガレットを待ち伏せていたそうです。でも奥方様は、アポなしの訪問者は大嫌い。
なのでマーガレット、男爵邸の前庭にマネージャーを招き入れ、男爵夫妻にはマネージャーがアポなしで突然来たことを説明し、
短時間だけマネージャーと話しました。でも奥方様は(マーガレットがマネージャーを呼んだに違いない)と思い込み、
その後マーガレットのことは無視するか冷たく接するかのみ。
土曜日の午後には奥方様、男爵がベッドに横たわって昼寝されたあとの乱れた寝具を指摘して、マーガレットを
(マーガレットが寝具を整えておかなかったからと)
"You are a disgrace!"
となじったそうです。それが決定打になりました。何とか月曜日まで我慢したマーガレットは、あと一週間残っていた来週のシフトを放棄し去っていきました。
もちろんマーガレットには、たとえ他の住み込みの顧客を紹介されようと、スターリング・ケアに留まる気はまったくありません。
『来週の住み込みは放棄する』とマーガレットから聞かされたマネージャーは、火曜日に男爵殿と奥方様のそれぞれのご長男と
(男爵夫妻はともに再婚同士)緊急のミーティングをもち、マーガレットが辞めたことを伝えました。
同日午後、近在の奥方様のご長男がやって来て、男爵夫妻と居間にこもり、マーガレットの辞職を伝えました。
奥方様、無理にかもしれませんが、その後もずっと同様に振る舞われていました。
翌日の水曜日、スターリング・ケアのマネージャーとシフトの振り分け担当者から私に、「たとえ数時間でもいいから、来週働けないか」と
懇願のメールが来ました。
私はといえば、その時点ではもう、来週の水曜日に求職先とスカイプ面談をすることになっていました。
なので「私も辞める意向であること」を伝えたところ、二人のスタッフに続けざまに辞められては面目丸つぶれだからでしょうね。
週100ポンドの昇給をオファーしてきました。
・・・ これは、ちょっと捨てがたいかも ・・・
スターリング・ケアにはとっくに愛想をつかしたけれど、去ったマーガレットと入れ替わりに来た私には、奥方様、
とても温かく接してくださっているんです。男爵邸は快適だし、Wi-Fi はあるし、今のところ仕事はラクだし・・・
なので私、当座は辞めるのをやめることにしました。何という変わり身の速さ(呆)。
でもそれは『一週間住み込んで一週間休み』という私の希望するシフト・パターンであることが前提で、
それはスターリング・ケアにもしつこく言ってあります。
だって、マーガレットが辞表を提出する前に送られてきた来月からのシフト表では、私は2週間働いて2週間休み、1週間働いたらまた
2週間休み・・・とイレギュラー。たとえ昇給があってもシフトのペースが落ちたら、収入も減りますからね。
もし将来シフトが減ったり、あるいは奥方様が以前の状態に戻ってとげとげしくなったりしたら、今度こそ辞めようと思います。
(って、もう誰も信じてくれない?)
奥方様が本当にお優しいので、そうなると人のいい私は、来週のカバーもすることにしました。
来週の火曜日は私、白内障の術後検査のアポが入っていて、オットーに運転してもらって行くつもりでした。
瞳孔を広げる目薬をさされるので、自分では運転して帰宅できないからです。
でも私が男爵邸に留まるのなら、オットーにここまで迎えに来てもらうなんて面倒はかけたくない。
私に言わせれば、マーガレットに去られたのはマネージャーが下手な動きをしたせいですから!
術後検査のための病院への往復は、スターリング・ケアのオフィスにお願いすることにしました。
オフィスの誰も時間を割けないなら、タクシーを手配すればいいだけのこと。
さらに金曜日には私、車のリコール修理のためグロスターに行かなければなりませんが、それは全部で
最長2時間半ほどで済むので、男爵夫妻、何とか大丈夫だろうと思います。
あぁ~なんていい人なんだろ私。
正直言えば、マーガレットのことはとくに残念とは思っていません。
だって彼女、辞めると決意してからは、ありありと仕事に手抜きしていましたから。
彼女が真面目に仕事しないと、迷惑を被るのは男爵夫妻でなく私なんですけどね!
私はマーガレットとは正反対で、辞めると決意してからはより一層熱心に仕事していました。
私に去られたあと、男爵夫妻に(ゴンは本当によくやってくれた、去られて本当に残念だ・・・)と思って欲しかったからです。
というわけで、スターリング・ケアがマーガレットに代わる住み込みスタッフを採用し送り込んでくれるまで、私は男爵邸を離れられません。
昨日(木曜日)の午後、オフィスからその旨連絡があったようで、奥方様の近在のご長男が男爵夫妻に、私が来週も引き続き住み込みを続けることを
伝えに来ました。すると奥方様、心から喜んでくださって(←演技でない限り)、私にハグまでしてくださいました
そして今朝は、奥方様のこれまた近在の娘さんが、「家族全員から」と、私にカードと花束をくださいました。
花束はいただいても、私は当分ここに足止めですから。奥方様に、アレンジして居間に飾っていただきました。
マーガレットが辞めたおかげで、私の希望通りにコトが進みそうで、何だか悪いみたい?
否、これは真面目に働いてきた私への、神様からのご褒美と思うことにします。
2ヶ月前には考えられなかったけれど、今のところは私、本当に男爵夫妻のことが好きなんですよね。
さっさとあきらめずに踏ん張ってみて、本当に良かったなぁ・・・