一昨日フレンチ・アルプス山中に墜落した、ジャーマン・ウイングス機。
ジャーマン・ウイングスってルフトハンザの子会社だそうですね、知りませんでした。
墜落現場は標高2000m近くあり、車両は乗り入れられず、ヘリコプターか徒歩でしか到達できないそうです。
粉々に砕けた残骸が、衝撃の大きさを物語っています。
人里離れた山中の墜落事故ということで、どうしても日本航空123便墜落事故を思い出してしまいます。
ご遺体やご遺体片の回収には、膨大な労力と時間を要することでしょう ・・・・・。
144名の乗客のうち16名は、交換留学(Student Exchange)で訪れていたバルセロナから帰国途中だったヨセフ・ケーニッヒ・ギムナジウムの “10年生”。 同行していた教師2名もまた、犠牲になったそうです。
ドイツ北西部ハルテルン・アム・ゼー町(Haltern am See) にある同校(Josef-König-Gymnasium)。
参加者が楽しみにしていたであろう交換留学が、こんな結末を迎えるなんて ・・・・・
(1) 10:01 4U9525便、デュッセルドルフに向けバルセロナを離陸。
(2) 10:27 同機、巡航高度の3万8千フィートに達する。
(3) 10:33 同機、時速548マイルで降下を始める。
(4) 10:40 衝撃の1分前の同機の高度は山々の上空わずか4000フィート(1.2km)。
(5) 10:41 航空管制官との接触が途絶える。
墜落機と同型のエアバスA320型機と、そのコックピット内部。
当初は機器系統の故障や何らかの技術的非常事態の発生が疑われましたが、墜落現場から回収されたブラック・ボックスの音声記録から、驚くべき状況が明らかに。
何と、ドイツ人の副操縦士アンドレアス・ルービッツ(27歳)が、コックピットを離れた機長をわざと閉め出し、同機の高度を故意に下げて墜落を招いたようなのです。
コックピットのドア施錠の設定は3通り。 スィッチが UNLOCK の位置に押し上げられている間は、ドアが開錠され開閉可能になります。 NORM の位置にあるときはドアは施錠されていますが、客室乗務員は非常時用アクセス・コードを使って外からドアを開錠できます。 スィッチが LOCK の位置に下げられるとドアは施錠され、あらかじめ設定された時間(5分から20分間)の間は非常時用アクセス・コードを使っても開錠できません。
バルセロナからデュッセルドルフに向かっていた同機。 下の高度と速度の推移グラフから、同機が突然急降下を始めたことが見てとれます。
デュッセルドルフ空港の、到着便案内板です。 空白になっていた4U9525便は、決して到着することはありませんでした。
恐怖の13分間の経緯
(1) 10:27 4U9525便、巡航速度の3万8千フィートに達する。 ボイス・レコーダーには、機長と副操縦士の普段と変わらない会話が記録されている。
(2) 短時間コックピットを離れた機長が、戻ってきてドアをノックする。 しかし内部からは応答なし。
(3) 副操縦士のルービッツには機長の姿が監視カメラで見えているが、無視する。
(4) 機長は非常時アクセス・コートを使ってドアを開錠しようとするが、ルービッツはドアの施錠を LOCK 状態にして開錠を阻止する。
(5) 10:29 ルービッツは無言のまま、機体を降下させる。
(6) 機体が降下していることに気づいた機長は、叫びながら防弾強化されたドアを何とか破ろうと試みる。
(7) 10:40 4U9525便、アルプス山中に墜落。
旧西ドイツの首都ボンから60kmほどの町モンタバウアーに、両親と住んでいたルービッツ。 一家の留守宅に、家宅捜査が入りました。
ルービッツの父親はビジネスマン、母親はピアノ教師だそうです。
ルービッツが仕事が入っているとき用にとデュッセルドルフ郊外に借りていたマンションにも、捜査が入ります。
手がかりになりそうな品々を運び出す捜査員たち。
ルービッツは 「鬱病の気があった」 「疾患のためトレーニングを遅らせる時期があった」 「最近恋人に去られて落ち込んでいた」 「もともとは客室乗務員だったため、周囲にパイロットとしては “二流” とみなされて不満を感じていた」 などの情報が錯綜しています。 今後事件に至るまでの詳細が明らかになるよう祈ります。
犠牲者の遺族は、墜落の報を受けて現場近くの対策本部にバスで到着しました。 この時点ではルービッツの両親は他の遺族たちと一緒でしたが、「副操縦士が意図的に墜落を招いた」 疑いが強まったため、二人は他の遺族から離されたそうです。 警察は二人にいろいろと質問したり供述をとったりする必要があるでしょうしね。
“墜落事故の犠牲者の一人” から “墜落させた張本人” へと立場が大逆転したルービッツ。 彼のご両親は今頃、いっそのこと死にたいような気持ちでおられることでしょう。 同情を禁じ得ません。
犠牲者の出身国を示す国旗には、日の丸も含まれています。 日本人も犠牲になったんですね・・・。
ボイス・レコーダーには、墜落直前の数秒間に叫び声が録音されていたそうですが、
墜落が、死が目前に迫ったとしたら、私はできればそのままそれを知らずに逝きたいなぁ。
自殺を考えていたルービッツが、機長がコックピットを離れたチャンスを 「ラッキー」 とばかりに利用したのなら、それは絶対に許せない卑劣な行為です。
ということは、もし機長がコックピットを離れなかったら、墜落は次のフライトに持ち越されていたのかも。
自殺するのは勝手ですが、149人もの善良な市民を道連れにするなんて、悪意そのもの! 最低!!
(ルービッツは、2013年に訪れたというサンフランシスコで、
ゴールデン・ゲイト橋に身を投げておけばよかったのに。
と、本気で思う。・・・・・)