3日前=8月12日木曜日の晩、イギリス南西部の港湾都市プリマスで、銃による無差別殺傷事件が起きました。
事件発生現場は、キーアム地区にあるビディック・ドライブ。
英南西部の住宅地で乱射事件、5人殺害 22歳容疑者は自殺 - BBCニュース
① 午後6時10分、プリマス、ビディック・ドライブ: ジェイク・デイヴィソンが自宅で、51歳の母親マキシーンさんを射殺。
② 午後6時11分、ビディック・ドライブ: 住民が緊急電話に通報を始める。デイヴィソンは至近距離から、おもちゃの乳母車を押していた
3歳のソフィー・マーティンちゃんと父親のリーさん43歳を撃つ。(二人はほぼ即死。)
ベン・パーソネイジさん33歳とその母親ミシェルさん53歳も撃たれたが、幸い命に別状なし。
③ 午後6時14分: デイヴィソン、近所の公園を走りぬけつつ、2頭のハスキー犬を連れて散歩中だったスティーヴン・ワシントンさん59歳を射殺。
④ 午後6時15分: ロイヤル・ネイビー・アべニューに左折し、無差別に発砲を続ける。
⑤ 午後6時16分: ヘンダーソン・プレイスにある美容室の外で喫煙中だった66歳のケイト・シェパードさんを射殺。
⑥ 午後6時17分: 警察がビディック・ドライブに到着、犯人の捜索を開始。
⑦ 午後6時23分: デイヴィソンの死体が発見され、死亡が確認される。
デイヴィソンに撃たれて亡くなった人々です。
目撃証言によると、咄嗟にソフィーちゃんをかばおうとしたのでしょうか、背中を撃たれたリーさんは、ソフィーちゃんに覆いかぶさるように
倒れたそうです。二人に近寄ったデイヴィソンは、リーさんの頭部、続けて上体を撃ちました。リーさんの上体を貫通した銃弾が、
ソフィーちゃんの命も奪ったと考えられています。
赤ちゃんのときにリーさん夫妻に養女に迎えられたというソフィーちゃん。幸せ一杯の家族だったのに・・・
リーさんの奥様ベッキーさんの悲嘆を思うと、慰めの言葉も見つかりません・・・。
公園で射殺されたワシントンさんが連れていた2頭のハスキー犬は、走って自宅に戻り、家人に異常事態を知らせたそうです。
シェパードさんは、美容室の外で喫煙していて射殺されました。
全員が、いつも通りにごく当たり前の日常を送っていただけなのに・・・。
犯人デイヴィソンの自宅周辺は、天地をひっくり返したような慌しさに包まれたことでしょう。
報道によると犯人ジェイク・デイヴィソン22歳は、『インセル』つまり異性を惹きつけられないがゆえの『望まざる童貞』でした。
自分のルックスや彼女ができないことの不満を、種々のサイトやSNSに発信していたそうです。
(彼女が欲しいなら、まず身奇麗にし本気でシェイプアップすればいいのに!)
デイヴィソンの母親マキシーンさんの友人によると、マキシーンさんは息子の精神状態を危惧し、NHS(国民医療サービス)に何度も
助けを求めたそうです。が、ロックダウンもあって、「人手が足りません」で、そのまま。デイヴィソンは父親(警察が父親の居住地として
別の住所を捜索したようなので、両親は別居か離婚していたようです)を数ヶ月前に殴打しており、父親は警察に「息子の銃器を押収するべき」と
訴えていたそうです。犯行に使われた銃はポンプ・アクションのショットガンとのことで、デイヴィソンはその所持免許を持っていました。
昨年9月、16歳の二人に対する暴行事件が発生し、防犯カメラの映像からデイヴィソンが割り出され、ショットガンは12月に押収されました。
デイヴィソンは『アンガー・マネジメント』を受講することを義務づけられ、受講。
ショットガンは先月はじめにデイヴィソンに返され、そのわずか一ヶ月後に、今回の事件が発生したわけです。
下は、防犯カメラに捉えられたデイヴィソン。
公園で犬を散歩させていたワシントンさんを射殺したあとだということです。
わずか6分ほどの間に、400m未満の距離の中で、5人の罪なき命が奪われました。
犠牲になった人々のご冥福をお祈りします・・・。
銃の所有は免許を取らない限り禁じられている英国では、銃による無差別殺人はそれほど頻繁には起こりません。
が、過去にも何件か起きています。
2010年6月に起きたカンブリアにおける12人連続射殺事件(Cumbria shootings)、
1996年3月のダンブレイン小学校無差別殺傷事件(Dunblane massacre)、
私が英国に来る5年前に起きたハンガーフォード無差別殺傷事件(Hungerford massacre)など。
ハンガーフォードの事件は1987年8月に起きました。犯人は27歳のマイケル・ライアン。
銃器所持の免許を持っていたライアンは、16人を射殺し15人以上を負傷させたあと、自殺しました。
犯人がともに20代であること、自分の母親を殺していることから、今回のプリマスの事件に最も共通点が多いように思います。
将来に何の夢も希望も持てない若者が、八つ当たり的に社会を恨み、
人々を無差別に道連れにして最後に自殺した・・・ということでしょうか?
五体満足に生まれていながら、自己中にもほどがある!
メンタルヘルス関連の救いの手が差し伸べられていたら、事件は回避できていたのでしょうか・・・?
犯人が銃器を持てないため凶行に使われたのがたとえばナイフだったら、被害者にも抵抗や自己防衛の余地があり、
犠牲者数も抑えられていたはず。
銃器は簡単に人を殺せる道具ですから!
所持や使用を許可する場合は、ものすごく厳しく審査してくれなければ困ります!
私は自分がトロいのを自覚していますから、車の運転をするときは、(車は凶器になり得る、簡単に人を死なせてしまえる)と、
常に気をつけて安全運転を心がけています。
今回の事件をきっかけに、銃器所持の審査がより厳しくなることを、心から願います・・・!