明日は Remembrance Day。
しかも今年は第一次世界大戦勃発の100周年にあたるため、ロンドン塔はかなり前からこんなことになっています。

ずっと昔は防衛のため水が張ってあっただろうと思われる堀の部分を埋めた、真赤なポピーの花、花、花・・・・・

Remembrance Day が近づくにつれ、このポピーの海を見にやってくる人がどんどん増えていきました。 学校が “10月休み” だった10月の最終週には、最寄の地下鉄駅は身動きができないほど混み合ってしまったとか。


ライトアップされて、日没後もなかなか素敵です。


女王陛下ご夫妻も、もちろん訪問されました。

若い世代の三人も。 ケイト妃はポピーを一本、植えたそうです。

セラミック製のポピーの植え付けが7月17日に始まって以来、ロンドン塔を訪れる人々の数はドラマチックに上昇しました。 ポピーを見るついでにロンドン塔内部を見物する人も増えたため、ロンドン塔は 「学校の10月休み中のロンドン塔観光は延期するよう」 異例のアドバイスを公告しました。
過去4ヶ月近く、約8000人のボランティアがポピーの植え付けに従事してきました。 このプロジェクトに協力を申し出たボランティアは約3万人。 ロンドン・オリンピックの半数に迫る人数だったそうです。

ポピーの花畑は、 Remembrance Day である明日、最後の1本が植えられて完成します。
その数、何と888,246本。 そのひとつひとつが、第一次世界大戦で失われた英連邦兵士の命を象徴しているのです。

ポピーはダービーにある工場で、50人近い従業員によって1月から作られてきました。
テラコッタ粘土を引き伸ばし機に入れるため薄く切り、均等に4mm厚になった粘土を型抜きし、形を整えます。

大きさの異なる2枚(1枚に花弁3つつき)を重ね、真中に穴を開け、成形します。

できるだけ本物らしく見えるよう形を整えられた粘土のポピーたちは、乾いて “皮の堅さ” になるまで24時間室温でねかされます。 その後温度が1000℃にまで上昇する窯に、8時間ほど入ります。

焼き上がったポピーたちは、別の工場に運ばれて二度にわたって色づけされ、もう一度窯に入って1117度で焼かれます。

冷めたポピーはロンドン塔に搬送され、ボランティアによって金属の茎をつけられ地面に植えられます。 一本のポピーは二段になった花弁、茎、花弁がずり落ちないよう支える留め具という4つの部分から成り、組み立てるのもボランティアさんだそうです。 作業により指にマメができてしまうボランティアさんも、けっこういたようです。
セラミック製ポピーによる戦没者の追悼を思いついたアーティスト、ポール・カミンズさん(下右)。 名も無き一戦士の遺言を読んだとき、アイディアがひらめいたそうです。 戦友をすべて亡くした戦士は、 “Blood swept lands and seas of red, where angels dare to tread” という詩的な一文を遺していました。 ポールさんはこのプロジェクトを、 Blood Swept Lands and Seas of Red と名づけました。
ポピーは一本25ポンド(約¥4500)で売られ、利益はチャリティーに寄付されます。 ポピーはすでに完売しており、寄付総額は1120万ポンド(20億円強)に上ると予想されています。

Remembrance Day 後の明後日にボランティアによるポピー抜きが始まり、解体されきれいにされたポピーは組み立て指示書つきで箱詰めされ、買った人に送られるそうです。 (ロンドン市長ボリス・ジョンソンはじめ4政党党首が口を揃えて、「まだ見に来るチャンスがない人のため、もう少しそのままにしておいて欲しい」 とお願いしたんですが・・・)
20億円の寄付総額・・・ すごい。 アーティストのポールさんの大手柄! 
ポピーの製作中、ローラーに手をはさまれて右手中指を失ってしまったそう
ですが、しばらくゆっくり休んでくださいね!
ついでながら・・・ 私、本物と思っちゃいましたよ。

ちょっと色合いの違う真中の兵隊さん。
Remembrance Day のために作られた、等身大のケーキなんですって! 
