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強姦の冤罪事件

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冤罪について、下の記事を、興味深く読みました。

冤罪 - 日本大百科全書(ニッポニカ)/JapanKnowledge

 

ウィキで日本の冤罪事件のリストを見ると、けっこうあることがわかります。

Category: 日本の冤罪事件 - Wikipedia

 

なぜ冤罪について突然書いているかというと、それは、20年前に起きた強姦事件に関し、

有罪判決を受けて服役後出所していた男性が、冤罪だったと認められたいうニュースを読んだからです。

以下、その事件について、ニュース記事から拾った情報を拙訳でお届けします。(文中は敬称略。)

 

*       *       *

 

2003年7月19日、午前4時半頃、グレーター・マンチェスターのサルフォード

二児の母である女性A(33歳)は、恋人の家から自宅に向かって、帰宅中だった。

恋人と口論になったため、ひとり徒歩で、帰宅することにした彼女。

背後から近寄ってきた男に突然捕われ、高速道路脇の土手下へと連れ込まれ、必死に抵抗したものの

男に首を絞められて意識を失い、数々の傷害と強姦の被害に遭った。

意識を取り戻した彼女は、近くの家に助けを求めた。

当時の技術では、DNAは検出されなかった。

 

アンドリュー・マルキンソンは当時37歳で、事件現場近くの同僚が住むフラットに、一時的に滞在していた。

事件の一ヶ月ほど前、友人が運転するバイクの後部座席に乗っていたとき、警官に止められ、

友人とともに身元を記録されていた。

強姦傷害事件の10日後、被害者Aの証言に基く似顔画像が配布されたとき、ある警官が、

画像はマルキンソンに似ていると思い、上司に報告した。

(似てる・・・  かぁ~・・・!? 

故郷のグリムスビーに戻っていたマルキンソンは、ホステルで逮捕された。

マルキンソンは、被害者Aと、「Aの後をつけている男を見た」 と言う他二人の目撃者によって面通しされ、

三人とも、複数の男の中から彼を、犯人としてピックアップした。

Aは 「(マルキンソンが犯人だと)100%以上確信している」 と語った。

(二人の目撃者は、裁判後、過去に虚偽の供述を含む犯罪歴があったことが明らかにされた。

またそのうちの一人はヘロイン中毒で、自分自身が逮捕されたときにはじめて、

強姦事件の目撃情報を提供した。)

 

Aは、「意識を失う前に、爪が折れるほどに思い切り犯人の顔を引っ掻いたから、

犯人の顔には深い引っ掻き傷があるはず」

と述べたが、マルキンソンの顔には傷はなかった。

マルキンソンは腕にタトゥーをしていたが、Aは犯人のタトゥーには言及しなかった。

Aは犯人には胸毛がなかったと述べたが、マルキンソンには胸毛があった。

Aが供述した犯人の推定身長は、マルキンソンの身長より低かった。

Aは犯人にはボルトン訛りがあると述べたが、マルキンソンにはボルトン訛りはなかった。

 

 

グリムスビーで1996年1月に生まれたマルキンソンは、20歳代・30歳代のほとんどを、外国で働いて過ごした。

1993年にオランダで生活を始めた彼は、2003年初夏までの10年間を、オランダで暮らした。

事件当時は、短期間の警備員としての仕事を得たため、英国マンチェスターを訪問中で、

近いうちにベトナムかカンボジアに旅行することを考えていた。

 

マルキンソンは、逮捕されて以降、一貫して無罪を主張した。

法廷では彼は、グラン・カナリア島やタイやオランダで暮らしてきた『放浪者』と表現された。

陪審員裁判で有罪となった彼は、『最低禁固期間6年半(*)の終身刑』 を宣告された。

何度か控訴したものの、訴えは退けられた。(*7年とする情報源もあります。)

最低禁固期間の6年半が過ぎたあと、罪を認めて矯正プログラムに参加さえすれば、

仮出所が許されたが、「犯していない罪を認めることはできない」 と、獄中生活を続けた。

DNA技術が進歩したため、証拠品を再鑑定するよう要請したが、相手にされなかった。

模範囚としての態度が評価されたマルキンソンは、2020年12月に仮出所を許され、

ようやく刑務所を出ることができた。

 

法の専門家から成るチャリティー組織 APPEAL は、冤罪事件の被害者の支援と救済を目的としている。

APPEAL は、マルキンソンを有罪とした強姦事件の証拠品を、鑑定に持ち込むことに成功。

被害者の爪や衣服から採取され保管されていたサンプルから、マルキンソンのものではない男のDNAが検出された。

DNAデータベースに検索をかけた結果、それはエクセターに住む48歳の男のものと判明し、

男は2022年12月に逮捕された。

 

 

 

マルキンソンの有罪判決は、先月26日にようやく覆され、潔白が証明され、無罪が確定。

事件から、ちょうど20年後のことだった。

彼の母親も妹も、事件当時オランダにいた彼のパートナーも、彼の無実を信じ、心の支えになってくれたという。

彼も母親(77歳)も、被害者Aに対して悪感情は抱いておらず、それどころか、深い同情を覚えている。

マルキンソン: 「被害に遭った女性は、あまりのトラウマのため私を犯人と見誤ってしまったのでしょう」

彼の母親: 「被害者の女性は、息子と同様に過去20年もの間ずっと、正義が成されずにきてしまいました。

彼女のために、今度こそ真犯人が、法の裁きを受けることを願います」

 

*       *       *

 

37歳から57歳までの20年間、無実の罪で強姦犯人と見なされていたマルキンソンさん。

こんなに怖いことが、本当に、起こり得るんですね・・・。

直接証拠は一切なかったのに、被害者と “目撃者” の証言だけで有罪になり、

17年間も獄中で過ごすなんて。

DNA技術の発達により、別に真犯人がいることが証明され、本当に良かったです。

でも・・・

もし証拠品が、経年劣化していたら?

もし証拠品が、不適切な保管方法により紛失してしまっていたら?

もしDNA技術が未発達で、別人のDNAが検出されていなかったら?

マルキンソンさんは一生、無実を証明することはできなかったことでしょう。

そう考えると、今有罪判決を受けて獄中にいる人の中にも、実は無罪という人が、かなりいそうな気がします。

 

旅行好きなマルキンソンさん、今一番したいことは、外国旅行だそうです。

「英国以外なら、どこでもいい」 とのこと。

たとえ仮釈放されて社会に戻れても、性犯罪者として登録されていると、

そんな人間にビザを発給してくれる国はごく少数なため、

外国旅行は実質、ほぼ無理なのだとか。

 

 

 

失われた20年間という貴重な時間は、もう二度と、戻っては来ません。

しかも、37歳から57歳という、人生のプライムタイムの20年ですから・・・

私は自由を何よりも愛するので、たとえ一億円と引き換えでも、

人生のうちの20年間を刑務所で過ごすなんて、絶対に無理、嫌ですね。

 

せめてマルキンソンさんが、莫大な額の補償金を受け取って、大好きな旅行を楽しまれるよう祈ります。

ところでその補償金について、信じられないニュースを耳にしました。

長くなるので、それは次回に。

 


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