ロンドン・オリンピックで大活躍し注目を集めた、南アフリカ共和国の両脚義足のオスカー・ピストリウス選手。
広々とした邸宅に住み、 (注: 警察車が駐まっているようなので、下右写真は事件後のものかと思います、)
モデルの美女リーバ・スティンカンプさんが恋人。 まさに順風満帆の人生を歩んでいたのですが・・・・・
去年(2013年)のバレンタイン・デーに、自宅でリーバさんを射殺したかどで逮捕されました。
ピストリウスの主張によると:
1. 午前2時から3時の間に目が覚めた。 扇風機を取りにバルコニーに這っていき、引き戸とブラインドとカーテンを閉めた。
2. バスルームで音がしたので、誰かが開いていたバスルームの窓から侵入したのだと思った。 「バスルームで音がして・・・ 恐怖にかられた・・・ 誰かが家に侵入してきたのだと思った。」 ベッド下にあった9mm口径の拳銃を掴んだ。 寝室は真暗闇だったが、彼は 「怖すぎて明かりをつけられなかった。」
3. 侵入者に向かって出て行けと叫びながら、バスルームへとにじり寄った。
4. バスルームに入ると、窓が開いていてトイレの中で音がしていた。 トイレのドアに向けて、4回発砲した。 「トイレのドアに向けて拳銃を撃ちながら、警察を呼ぶようリーバに向かって叫んだ。 彼女の返事はなかった。 バスルームへの入口に目を据えながら、後ずさりした。」
5. トイレの中では、リーバさんが3発撃たれていた。
6. 寝室に戻った。 「ベッドに達したとき、リーバがそこにいないことに気づいた。 トイレの中にいたのはリーバかもしれないと気づいたのはその時だった。」 義足を装着し、明かりをつけた。
7. 寝室の床に転がっていたクリケット・バットを拾い上げた。
8. バットを使ってトイレのドアを叩き壊した。
9. 「リーバはぐったりと倒れこんでいたが、まだ息があった。」 ピストリウスは助けを呼んだ。
10. ピストリウスは、リーバさんを階下へと運んだ。 「彼女は僕の腕の中で死んだ。」
事件の現場写真
今年3月2日に始まった裁判。 ピストリウスは法廷で何度も感情的になり泣いたり吐いたりしたため、彼の身近には常にタオルとバケツが用意されていたそうです。
先月 『意図的な殺人罪』 では無罪となったピストリウスでしたが、 『過失殺人罪』 では先日有罪となり、今日 『懲役5年』 の判決が下りました。
退廷し、 囚人護送車に乗り込むピストリウス
裁判所を出るピストリウスの父親。 彼の叔父は「判決を受け入れる」 ことを表明。 彼の兄(下)や姉妹たちは、納得いかないようですが。
リーバさんと仲良しだった従姉妹を慰める、リーバさんの母親 リーバさんの両親
・・・ しかし、 ・・・・・ イギリスの懲役刑が、実際にはその半分しか意味しない(20年の懲役刑をくらった場合、10年後に上告すれば大抵の場合仮出所が認められ釈放される)のと同様に、南アフリカの懲役刑も5年は5年を意味しないそうです。 いや、それよりももっとひどい。
実際には6分の1しか意味しないので、ピストリウスは早ければ10ヶ月で出てこられるそうです!
私は個人的には、ピストリウスは意図的にリーバさんを殺したのだと思っています。 だって・・・ トイレの中に誰かいるからといって侵入者と決めつけ発砲するなんて、しかも4度も、 ・・・ ・・・ ・・・ 有り得ない! 隣で眠っているはずの恋人の居場所も確認することなくですよ!
それに100歩譲ってピストリウスが、トイレにいるのは本当に侵入者と信じていたのだとしても、閉じられたトイレの中にいる侵入者は、罠にかかったネズミと同じ。 もうどこにも逃げ場がないんです。 発砲はせずに、銃を構えてリーバさんに警察を呼ばせるだけで十分だったはず。 ドアが開きかけたら発砲すればいい。 なのに有無をいわせず4度も発砲って・・・ 中にいたのが本当に侵入者だったとしても、これは過剰防衛ではないですか?
前の晩に隣人が聞いたという言い争う声。 ピストリウスの元恋人の「(交際中は)身の危険を感じていた」という証言。 ピストリウスは過去に公の場で銃を取り出したことがあったという証言。
私はこう考えます。 二人は夜中に口論になった。 リーバさんはトイレに閉じこもった。 激高したピストリウスはドア越しにリーバさんを射殺してしまい、我に返ってから 「侵入者だと思った」 説をでっち上げた。
でも殺人の意図があったかどうかは、ピストリウス本人が知るのみ。 法廷で殺人の意図があったことを証明できない以上、意図的殺人に関して無罪になるのは仕方ないです。 その主張が、どれほど信じ難いものだとしても。 しかしながら、過失殺人では、有罪が当然です。 だって、現に人一人が殺されているんですから。 弁護側は 「懲役刑ではなく自宅軟禁と社会奉仕が妥当」 としていましたが、それは甘すぎ! たとえ交通事故だって、重大な過失があった場合は懲役をくらうんですから。 懲役刑に不満そうなピストリウスの兄弟姉妹は、もし立場が逆だったらと考えてみて欲しいです。 リーバさんがピストリウスを侵入者と間違えて射殺してしまったのだとしたら? そのとき彼等は、 「意図的にしたことではないのだから」 と自宅軟禁と社会奉仕で納得してあげられるのでしょうか?!
ただピストリウスが10ヶ月しか禁固されずに出てきてしまうのだとしたら、その禁固は短すぎると私は思います。 リーバさんの母親は、「ピストリウスは10ヶ月で出てくるかも知れませんがどう思いますか?」 の問いに対し、 「彼は(たとえ短くとも)罰を受ける。 私は判決を支持し、これが私達の心に平安を取り戻す過程の第一歩になってくれることを願う。」 みたいなことを言っておられましたが・・・ 私が彼女の立場だったら、納得できません・・・・・
ピストリウスは第2のO.J.シンプソンなのか。 それとも本当の本当に、大きな勘違いの結果誤ってリーバさんを殺してしまったのか。 ピストリウスの心の中をのぞけたらいいのになぁ。
リーバさんのご冥福をお祈りします。 ・・・・・