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Channel: ハナママゴンの雑記帳
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ドラマ “Help”

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今月半ば、ケアホームを舞台にした単発の2時間ドラマが放映されました。

民放 Channel 4 の “Help” です。

私は最近ほとんどテレビを見ないので見逃していたところですが、ムスメが教えてくれたので見ることができました。

主人公が介護ヘルパーなので、私の仕事と重なるからということで。

     

 

主人公のセーラは、若い介護職初心者。

新しい職場で奮闘するうち、若年性認知症を患うトニーと絆をむすぶことにより、自信をつけていきます。

しかし2020年春、新型コロナ感染症が世界を襲い、セーラが働くケアホームも、荒波に呑み込まれます。

 

ある晩、一緒に働くはずだったスタッフがすべて自主隔離に入ってしまい、夜勤はセーラたった一人きり。

住人の一人ケニーさんは、コロナに感染したようで、苦しげに激しく咳をし続けます。

血中酸素濃度は80台(たしか)。電話で救急車を頼んでも、「今発動できる救急車はありません」。

医療相談の番号にかけても、録音されたメッセージがぐるぐる繰り返されるのみ。

「来てくれる人は、誰もいない・・・」 冷たい現実に、セーラは愕然とします。

使い捨ての防護衣が不足していたため、大型の黒いゴミ袋を代わりに着、ケニーさんの呼吸を少しでも楽にしようと、セーラは

スマホで検索した情報に基づいて、感染防止措置を取りながらトニーにも手伝ってもらい、大柄なケニーさんをうつぶせにします。

 

こうして悪夢のような一夜を無事やり過ごすことができました。

しかしある日セーラは、トニーが大量の鎮静剤?を投与されて涎を垂らし、別人のようなぼんやり状態にあるのを発見します。

トニーが火災報知器?をいじって非常ベルを鳴らしてしまい、他の住人を不安に陥れたための措置でした。

トニーが受けた処置に憤ったセーラは、トニーを密かにケアホームから連れ出し、海に近いホリデー用トレイラーを見つけると、

そこで一緒に安らぎの時を過ごします。

でもやがて発見され、警察が、トニーを保護しセーラを逮捕するためやって来るのでした。・・・

 

うーん、やるせないラストですね。ムスメに感想を訊かれたので、正直なところを言いました。

「セーラが一人ぼっちで夜勤なんて有り得ないと思うし、トニーを連れ出してしまうのも現実離れしていると思った」と。

ムスメはドラマ、とても良かったと思ったそうです。実際視聴者や批評家からも、高評価を得ているようです。

でも、一人で夜勤・・・ あの架空のケアホームの収容人数が何人だったのか知りませんが、いくら新型コロナが蔓延中とはいえ、

一人で夜勤はなかったのでは?ふつうスタッフが急病になったのをカバーするために、連絡網が常備されていると思うんですが?

そういえば、コロナの第一波にひどくやられたスペインでは、「ケアホームのスタッフが住人をほったらかして引き上げてしまった」と

ニュースで言っていましたっけ。兵士がチェックに入って明らかになったと。そんなことも実際あったのだから、私が知らないだけで、

イギリスのどこかのケアホームでも一人ぼっちで夜勤をせざるを得なかった介護スタッフがいたかもわかりませんね。

 

セーラがトニーをケアホームから連れ出すという設定は、私にはやはり現実離れしているように思われます。

トニーが余計な「いたずら」をして問題を起こさないよう、鎮静剤でおとなしくさせておくというのは、非人道的に映るかもしれません。

でもただでさえコロナ禍で人手不足なのです。他の住人の精神状態と安全を守るためには、仕方なかったのでは・・・?

不要不急の外出は禁じられていたときに、海辺のトレイラーにもぐり込んでしばらく過ごして、

やがてやって来た警察によってパトカーに押し込まれ、「セーラ!セーラ!・・・」と叫ぶトニー。

あれが本当にトニーにとって良いことだったのでしょう・・・か・・・?

(私の記憶に自信がないので、実際のドラマの内容と異なる点があったらお詫びします。)

 

でもセーラの勇気と行動力は買います!

セーラは独身で、扶養義務のある子供もいないし介護しなければならない親もない。

そんな身軽さが、行動力の後ろ盾になっていたのでしょうか?

否、たとえ独身時代だったとしても、私にはできなかったでしょうね。保身本能が強すぎて。

仕事を失いたくないし、他人に後ろ指を指されたくないし、前科者になるのもゴメンですから。

トニーのことを気の毒には思いつつも、(コロナでこんな状況だからやむを得ないか・・・)と、自分を納得させそうです。

 

といろいろ言ってきましたが、二人のメイン・キャラクターの演技はとてもよかったし、いろいろと考えさせられるドラマでした。

見てよかったです。ありがとね、ムスメ

 

私はサポート・ワーカー、病院でのヘルスケア・アシスタント、訪問介護ヘルパー、住み込み介護ヘルパーと、介護職を渡り歩いてきました。

(参: 私がイギリスに来てから就いた仕事

でもケアホームで働いたことは一度もありません。理由は、仕事が大変そうだからです。

病院で一緒になった派遣の介護ヘルパーさんに、聞いたことがあったんですよね。

ケアホームでは、「朝10人ほどの入居者さんを割り振られて、全員の起床と身支度介助をするよう指示される」と。

えぇ~、それは嫌!と思いました。

私は仕事をゆっくり丁寧にするのが好きなタイプ。スピードが要求される場面は不得意なのです。

スピードを上げるとどうしても内容がおろそかになるし、高齢者を急がせると、事故につながりかねません。

私にはケアホームは無理だと思いました。

同じ理由で、限られた時間内で介護を終えて次の顧客さんの元へ移動しなければならない訪問介護ヘルパーも、

やってみたけどダメでした。常に時間に追われているのがストレスすぎました。

 

今やっている住み込み介護は、自分に合っていると思います。

通勤はないし、顧客さんのパーソナル・ケア以外は自分のペースで、仕事の段取りを自分で組み立てながら、

必要なだけ時間をかけて仕事をこなせますから。顧客さんと一対一なので、人間関係もありません。

(否、男爵邸で働いたときはあったか・・・男爵夫人がおられたから・・・ゴニョゴニョ・・・

10年半続けた病院でのヘルスケア・アシスタントも悪くなかったけれど、だからこそ10年半も続いたのだけれど、

やはり人間関係はありました。患者さんにも同僚にも尊大ぶった看護師とか、同僚同士でおしゃべりばかりして

患者さんを見ていないヘルスケア・アシスタントとか。それが無くなった分、今はストレス(ほぼ)フリーで働けています。

3年前に病院を辞めたときは(本当にこれでいいの?)と不安になったけれど、今は住み込み介護に転職してよかったと思っています。

私が働いていた(高齢者専門の精神)病院も、去年はコロナ禍で大変だったことでしょう。

何とか無事に乗り切ってくれたことを祈ります。

 


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