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Channel: ハナママゴンの雑記帳
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老後の沙汰は、カネ次第 ②

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《  からのつづき 》


先週の日曜日、突然オットーに 「もうここには住めない」 と独断でメールしてきたオットー父。

「おまえにはショックだろうが」 なんて書かれてましたが、そんなこたぁなくて。 想定内でした。

というのも・・・・・


去年の春、ムスメと私は日本に8泊9日の駆け足里帰りをしたわけですが、

帰宅した日、仕事から戻ったオットーが開口一番に言うのです。 「今朝は仕事に行けないと思った。」

何が起きたかというと、私達が出掛けたあとの週末、オットー父が精神的に崩落したそうで。

「もう母さんとの生活には我慢できない! 家を出てマンションで一人で暮らす!!」 と・・・。

何が我慢できないかというと、もう何年もマトモなものを食べさせてもらっていない、母さんは何でもすぐ壊す、

認知症にかかっているから(事実無根)物忘れがひどくて何もかもスムーズに進まない、などなど。

これらが事実かどうかは別として、オットー父はこういう不満を溜め込んでも本人とは直接話し合うことなく、

オットーという第三者を間に挟んでのみオットー母にぶちまけるわけです。

それでオットーが 「父さんはこう言っているけれど、母さんはどうしたい?」 と訊くと、

これだけボロクソに言われているにも関わらず、「私はお父さんとできるだけ一緒にいたい」 と・・・・・


その後父親が鬱病にかかっているのでは? と疑ったオットーが医者に相談して、

私達が帰国する日の朝、オットーは父親を医者に連れて行くつもりだったのですが、急にしゃんとしたオットー父、

オットーの出勤前に 「医者には自分で行くから」 と電話してきたそうです。 ここでオットーが

「いや自分が連れて行くから」 と主張してまたつむじを曲げられても困るので、オットーは出勤。

信頼しているお気に入りの女医さんにじっくり話を聞いてもらって満足したオットー父は、その後

精神的に安定し、その世話が負担になっていた趣味で集めたサボテンを昨夏大量に処分し、落ち着いていたのでした。


90歳という大きな節目の誕生日を迎えた今年4月、また精神的に不安定になるんじゃないかと心配していたのですが、

誕生日は無事通過。 でもまた崩落するのは時間の問題だろうと思っていました。 だから想定内だったわけです。


今回の精神的崩落の原因は、自分でしたいことが思うようにできなくなったことのようです。

例えば庭仕事。 庭木の刈り込みや草むしりや芝刈りに苦労するようになっていたので、オットーも協力して探して

何人か庭師を雇ったのですが・・・ 100%自分の思い通りの仕事をしてくれないと不満ですぐクビにしてしまうので、近頃はなかなか

頼む人が見つからず、「庭のどこを見てもどうしようもなく荒れ果てている!もうこんな庭を見たくない!!」 のだそうです。

オットー母の料理にも相変わらず不満で、「もう何年もおいしいと思える食事を出してもらっていない。」

オットーが 「日曜日にここで一緒にお昼の食事を取るけど、母さんの料理が変わったとは思わないよ。 味覚が変わったんじゃない?」

と言っても 「そんなことはない。 何もかも味がないんだ。 もううんざりだ。 3食出してくれる老人ホームに入りたい。」


自分で料理するのは面倒臭い。 でも温めるだけでいいバランスの取れた食事を配達してくれる

サービスを頼むのも煩わしくてやりたくない。 だから老人ホームというわけです。

現在90歳と88歳のオットー両親ですが、たまに調子が悪いときに杖を使う程度でまだまだ自由に動けているのは、

本当に幸運。 まだ介護が必要になっているわけではないので、老人ホームに入ってしまうのは早急に思えたのですが、

オットー父は “That's what I want !” と頑なでした。 「老人ホームに2人分の空きがなければ、

別々のホームに別れて暮らすことになるかもしれないけど?」 というオットーの指摘にも、

「それならそれでいいさ。」 とオットー父。 それを聞いてオットー母もあきらめて 「別々になっても仕方ないわね・・・。」

オットー父、まるで駄々っ子のようでした。 あ、これ、すべてオットーから又聞きしたことです。

私が同行するとオットー両親が腹を割って話せなくなるだろうと思い、私は一切関与していません。

先週の日曜日もオットーだけ両親宅に行き、ムスメは行くのをやめました。


前置きが長くなりましたが、ここからが記事タイトルに沿った内容です。

介護を必要としない高齢者の老人ホームは、レジデンシャル・ケア・ホーム。

高齢のためネットを使うことも面倒になったらしい両親に 「適当な所を探して欲しい」 と頼まれて、

オットーはネットでサーチしてメールで資料を請求しました。

私が職場(高齢者専門の精神科病院)でもらってきたこの地域の老人ホームを紹介するガイドブックも、

とても参考になりました。


介護が要るにしろ要らないにしろ、高齢者のホームは、例えばこんな外観だったりします。

 

 

個室はこんな感じ。

 

共用の居間やダイニング・ルーム。

 

 

 

レジャーの予定表。

ある週の献立表。


レジデンシャル・ケアに含まれるのは、食事、掃除、洗濯など。 自分では一切何もやらずに暮らせるわけです。

でもそれ以上のこと、たとえば散髪や外出の付き添いなどには別料金がかかります。 3食付のホテル滞在のようなものですね。

でもって、その滞在料金?入居費?の高い  ことったら!

(FNC は Funded Nursing Care の略で、必要と認定された看護ケアへの補助金のようです。)


一週間で一人750ポンド(9万7500円)! 看護ケアがつくと、週850ポンド(11万500円)!!

4週間で一ヶ月として、月額39万円 / 44万2千円 ・・・・・

しかもこの円換算は脱EUの影響でポンドが下落した現在のレート(1ポンド130円)でされていますが、

ポンドが好調だった去年の今頃の1ポンド180円で換算すると、54万円と61万2千円。

しかもしかも、ここは比較的安い方で、高いところはレジデンシャル・ケアでも週1200ポンド(15万6千円)とかします。

こりゃ、お金が湯水のように出て行くわ・・・・・


イギリスでも昔は、年老いた親は子供とその家族と同居していました。 でも現在は、介護が必要になったら子供に頼らず、

自己資金でホームに入居、が主流です。 そして資産が23,250ポンド(約302万円)以上ある人は、

まず自己資金を使ってホームに入らなければなりません。


共働きだったオットー両親はまともな年金を受給しているし、持ち家もあるし、オットー父がホリデー嫌いなため

退職後もほとんどホリデーに行くことなく暮らしてきたので、資産は平均以上にあります。

それでもこの額を出していたら、数年で資金は底をついてしまうでしょう。

現在のレートで換算しても、二人とも入居すれば月額80万円かかるのですから。

(・・・中流ホテルやB&Bに滞在した方が安くつくのでは?)


それでもって、資金が尽きるまでにあの世からのお迎えが来なかった場合。

誰か(たとえば子供)が入居費を肩代わりして払ってくれれば万々歳ですが、そうでなければ福祉のお世話になるしかなく、

その場合は住み慣れたホームを出て指定されたホームに移るしかありません。

指定されたホームは大抵の場合、「(あそこは)ひどい」 と形容されるような、安かろう悪かろうのホームなわけで・・・・・

我家の場合、こんなに高額なホーム費用は、とてもじゃないけど肩代わりできません。 オットーが3人いる弟妹と協力したとしても、

まず無理でしょう。 私たち次世代だって、自分たちの老後の資金を何とかしなければなりませんしね。

でなければ自分たちが、近い将来子供に心配をかけてしまいます。

どのみち心配をかけることになりそうですが・・・。 



《  につづく 》

 

 

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