Quantcast
Channel: ハナママゴンの雑記帳
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1529

ベルリンのトラック・テロ事件 《前編》

$
0
0

19日にベルリンで、またまた無差別テロ事件が起きてしまった。

今年7月14日にニースで起きたトラック・テロを模倣したような、大型トラックを使用したテロ。

 ドイツでは、ニースの事件の衝撃が覚めやらぬ7月22日に、ミュンヘンで無差別銃撃事件があったというのに・・・・・。

19日夜、買物客でにぎわうベルリンのクリスマス・マーケットに大型トラックが突っ込み、11名が死亡、49名が負傷。

 

 現場は大混乱だったろう。

  

  

  

 

① 午後3時から4時の間: イタリアからベルリンへ鋼鉄材を運搬したウーカシュ・ウルバン(?Łukasz Urban)運転のポーランド籍大型トラックがハイジャックされる。 ウルバンはハイジャック犯ともみ合って射殺される。 (注: その後の調べでウルバンが射殺されたのはハイジャック犯がトラックから逃走する直前だったと訂正された。)

② 午後7時: トラックが時速64kmでブライトシャイド広場のクリスマス・マーケット会場に突っ込み、多数の死傷者を出す。 覆面していた運転手は逃走。 (犯行時間は現地時間で午後8時02分だったとする情報源も。)

③ 午後8時: (事件現場から1.6km離れた)ティアーガルテン公園内で、容疑者 Naved B が追跡後逮捕される。 ベルリン警察はのちに、彼は事件とは無関係だったと発表。

 ④ 翌日午前4時: 捜索チームがテンペルホーフ空港の格納庫を急襲。 4人の男性が尋問されラップトップが差し押さえられる。

 

ベルリンには行ったことがないから調べてみた。

有名なブランデンブルク門から南西に3kmほどの距離にベルリン動物園がある。 そのすぐ南にカイザー・ヴィルヘルム記念教会が立っているが、今回の事件の現場となったのは、その足元のブライトシャイド広場で開催されていたクリスマス・マーケットだ。

 1: カント街を走ってきたトラックが急に道路を離れて右に方向転換し、進入禁止柱を避けて歩行者専用地域に乗り入れクリスマス・マーケット会場を暴走。

2: 出店をなぎ倒し12名を死亡・50名を負傷させ、45m(50~80mという情報源も)走ったところで停止する。 (死亡した12名にはウルバン氏も含まれていると思われる。 また負傷者数は49名とする情報源も。)

3: 近隣の動物園で容疑者が逮捕される。 トラック助手席にはもう一人いた(=射殺されたウルバン氏)。

 

最優先となる負傷者の救助・搬送が落ち着いたところで、警察の現場検証がスタート。

  

下は、テロ事件翌朝の画像かと。 下の2枚では左が北で右が南だが、・・・

 

・・・下左画像では、左が南で右が北。

 

 事件現場となったカイザー・ヴィルヘルム記念教会のすぐ南側を走る広い通りはクアフュルステンダム(Kurfürstendamm)、通称クーダム。 “ベルリンのシャンゼリゼ” とも称され、西部のシャルロッテンブルク=ヴィルマースドルフ区に3.5kmに渡って伸びる、ベルリンで最も有名な通りのひとつだそうだ。

 下は、教会を中心にしたグーグル・アース画像。

 現場検証後に撤去される、犯行に使われたトラック。 フロントガラスを突き破ったクリスマス・マーケットの残骸が、衝撃の激しさを物語る。

 

 白い粉が撒かれているのは、流血のあった部分だそうだ。 現場を訪れたメルケル首相(下右)。

 

 

テロ実行犯にハイジャックされたらしい大型トラックは、ポーランドの運送会社の所有で、運転していたのはウーカシュ・ウルバン(?Łukasz Urban、37歳・妻と17歳の息子あり)。 イタリアのトリノからスチール・ビームをベルリンのティッセンクルップ社所有の倉庫に運搬したあとポーランドに戻る予定だった。 ウルバンが最後に目撃されたのは午後2時頃で、ティッセンクルップ社の倉庫近くのケバブ・ショップに向かうところだったという。 警察は彼のトラックは同倉庫に隣接する道路上でハイジャックされたとの見方を強めている。

しかしながら別の情報源によると、ウルバンがトラックを停めたのは Friedrich-Krause-Ufer にあるハブ(トラック・ターミナル?英語ではDepot)だった。 Friedrich-Krause-Ufer は通りの名前のようで、その位置(赤ピンの先)は事件現場から北に4km弱というところか。

 

ウルバンが勤務していた運送会社の社長で彼の従兄弟でもあるアリエル・ジュラウスキ(?Ariel Żurawski)は、事件直後からウルバンのテロ事件への関与を強く否定。 彼はウルバンと、事件のあった日の正午頃に電話で話していた。 ウルバンは彼に 「ベルリンに一日早く着いたから、積荷(24トンのスチール・ビーム)を降ろすのに明日の朝まで待たなければならない。 腹が減ったからケバブ・サンドイッチでも買いに行くよ」 と語ったという。 ティッセンクルップ社のスポークスウーマンは 「19日の午前中に到着した運転手に一日早く荷降ろしするスロットが残っていないか訊かれたが、一杯だったので予定通り翌日午前中に戻ってくるよう頼んだ」 としてウルバンの話を裏付けている。 また近所のケバブ・ショップの防犯カメラに、ウルバンの生前最後の姿が捉えられていた。

午後3時頃、ウルバンから彼の妻に電話があった。 勤務中だった彼女は 「今仕事中で話せないから午後4時に自分から電話する」 とウルバンに言ったが、午後4時に電話したところ、応答はなかった。 トラックのGPS記録から、ハイジャックは午後3時から4時の間に起きたと考えられている。 午後3時19分と44分に、エンジンをかけようとして失敗したことが記録された。 トラックは午後5時前と午後5時半過ぎに、事故現場に向かって短距離を移動した。 移動中トラックは “チョーキング” を起こしているようだったので、ウルバンを雇っている運送会社は彼に連絡を取ろうとしたが、応答はなかった。 それはまるで、トラックを運転できない誰かが運転の仕方を習っているようだったという。 午後7時34分に、トラックはクリスマス・マーケット会場へと移動を始めた。 最後のGPS記録は午後8時のもので、ヘッドライトを消したトラックは、マーケットに突っ込んでいったと考えられている。

 

「彼(ウルバン)は木曜日(22日)までに帰宅して、クリスマス・プレゼントを用意する予定だった。 彼の死は、家族にとっては二重の悲劇だ――というのは彼の兄が、数年前に自殺したからだ。 気の毒に、父親はショックで病院に運び込まれたよ・・・」 と、アリエル・ジュラウスキ。 ウルバンの妻と息子が悲嘆にくれていたため、代わりに家族の別の一員が、事件後トラック内部で発見された遺体の身元をウルバンと確認した。

 ウーカシュ・ウルバン(下左) / 防犯カメラに写ったウルバンの最後の画像を見せるアリエル・ジュラウスキ / 不鮮明なその画像

 トラックの助手席で遺体で発見されたウルバンは、刺されたうえ、頭部を一度だけ小口径の銃で撃たれていた。 警察は、ハイジャックに抵抗しテロを防ごうとして刺されたものの、クリスマス・マーケット会場に接近した時点ではウルバンはまだ生きていて、ハンドルを掴んで左に切ってトラックを停止に追い込んだため射殺されたと見ている。 彼の行為により多くの人命が救われた可能性が高い。 凶器はトラック内部には残っておらず、未だ発見されていない。

事件発生直後、事件を目撃したという一市民が、警察と連絡を取りながらトラックから逃走した実行犯を追跡した。 その結果大ティアーガルテン公園中央にある戦勝記念塔付近で Naved Baluch という名の23歳のパキスタン人難民が逮捕された。 容疑者と間違われることを怖れて現場から逃げ出したため疑われたものらしい。 警察は彼が6人の男と一室に同居していた、現在難民キャンプとして使用されているテンペルホーフ空港の格納庫を急襲し、ラップトップ一台と彼の携帯電話を押収し、分析した。 逮捕された男はテロ行為への関与を否認。 硝煙反応や衣服に付着した血痕を含むウルバン殺害の証拠が皆無なうえ押収品の分析をしても何も出なかったため、ベルリン警察は彼を “間違った男” だったとして事件翌日の20日夜に釈放した。

 

 翌21日、ベルリン警察は 「トラックの運転席の下からチュニジア生まれのアニス・アムリ(24歳)の身分証明書を発見した」 と発表。 アムリは直ちに10万ユーロの賞金をかけて国際指名手配された。

 

  

警察は、事件の翌日未明にベルリンのモスクに出入りしたこの男  がアムリだったと考えている。

  

 

  《 そろそろ文字数制限に引っかかりそうなので、後編につづく 》

 

 

にほんブログ村 海外生活ブログへ にほんブログ村


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1529

Trending Articles