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Channel: ハナママゴンの雑記帳
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ハプニングの原因

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今回は、オスカー・ナイトのハプニングの原因を探ってみましょう。

授賞式のトリだった作品賞の前に授与されたのは最優秀主演女優賞で、プレゼンターは去年主演男優賞を

獲得したレオナルド・ディカプリオ。 彼がステージの左手から登場し、受賞したのはラ・ラ・ランドのエマ・ストーンだと

発表し、エマ・ストーンはオスカーを受け取り、スピーチをし、レオくんにエスコートされて退場。

アカデミー賞には何度も涙を呑まされてきたレオくんなので、「何てこと、レオのせいだわ。 彼が封筒を持っていたんだもの」(下左)

などと半分本気で(?)結論に跳びつく人もいたようです。 でもレオくんは無実。 だって封筒はエマ・ストーンが受け取り、その後は

ずっと肌身離さず、誤ってラ・ラ・ランドが作品賞を獲得したと発表されたときは付き人に預けてからステージに上がったそうだもの。

 

 でも、それならなぜ、主演女優賞の封筒が作品賞のプレゼンターに渡され得たのか。

じつはすべての賞の受賞者(受賞作品)名がプリントされたカードが入った封筒は、それぞれ2つずつあるのだそうです。

今回のことがきっかけで、私も初めて知ったんですが。

 

アカデミー賞各部門の受賞者(作品)は映画芸術科学アカデミー会員の投票によって選ばれますが、それに関わる一切の業務――

投票用紙の送付、回収、開票、集計、受賞者(作品)名を記したカードの準備、授賞式当日の管理――は、世界159ヶ国で

18万人を雇用し巨大なプロフェッショナル・サービス業を展開する大企業プライスウォーターハウスクーパース(略: PwC)

が83年前から請け負っているそうです。 アカデミー賞に携わるチームには6人いますが、責任を負うのはそのうちの二人だけ。

6000人以上いる会員の投票は間違いがないよう手分けして3回集計されます。 が、結果は極秘のため、すべてを一枚の紙に

書き留めることはしません。 さらに結果は、二人の責任者にしかわからないようになっています。 二人はそれぞれの部門における

受賞者(作品)を記憶して授賞式に臨みます。 ハッキングの怖れがあるため、コンピューターはできるだけ使用しません。

授賞式中は、二人は右手と左手に分かれてステージ裏に立ち、自分の側からステージへと進むプレゼンターに次に発表されるべき

部門の封筒を渡します。 二人が自ら封をした封筒です。 プレゼンターが自分の側ではなく反対側からステージに上がった場合は、

間違いを避けるため渡さずに済んだ封筒は除いておかなければなりません。

 

24ある部門の受賞者(作品)名は、ステージ上でプレゼンターが封筒を開封し中のカードに記された名前(タイトル名)を

読み上げるまで、アカデミー賞担当の二人しか知らないのだそうです。 現在の担当者は

ブライアン・カリナン(57歳)とマーサ・ルイツ。 カリナンは3年前、ルイツは2年前にこの担当になりました。

 それぞれの封筒は個別にフォルダーに入れて封をされたうえ、各自のビジネス・ケースにしまわれます。

下右は、授賞式リハーサルでの二人。

 

 下左は、日本のニュースでインタビューされるカリナンだそうです。 見た人いるかな? そうして今年の授賞式当日に臨んだ二人。

カリナンはステージ裏の右手、ルイツは左手につきました。 ダナウェイとビーティーが登場したのは右手から。 よって、ビーティーに

間違った封筒を手渡したのはカリナンでした。

 

 ダナウェイが 「ラ・ラ・ランド!」 と発表した瞬間誤りに気づいたであろうカリナンとルイツ。 何せ受賞者(作品)名を知っていたのは、

広い会場の中でも二人だけ。 二人以外の全員は、知る由もありませんでした。 二人とも、驚きのあまり心臓が止まりそうだったかも。

 

アカデミー賞授賞式プロデューサーによると、カリナンはすぐさま 「間違いだ、それは間違いだ、その映画じゃない!」 と叫んだそうです。

 

 でも彼がステージに上がるまで、3分近くありました。 (PwCはその後 “このような非常事態に対処するためのプロトコルがあったにも

かかわらず、カリナンもルイツもそれに従って速やかに行動を起こすことに失敗した” ことを認めています。 ・・・パニックして頭が

真白になっちゃったのでしょうね。)

  

 ムーンライトが正しい受賞作品だと宣言されたのは、午後09:13のことでした。

  

  

 固い表情のカリナンに言葉をかけるビーティー。 親しみのこもったフレンドリーな言葉では・・・ なかっただろうなぁ。

 

アカデミー賞授賞式の歴史において最大の間違いが発生したそのタイミングですが。 トリである作品賞の前に発表されたのは

主演女優賞で、エマ・ストーンが受賞してアナウンスをしたあとステージを下がりました。 次が作品賞だったわけですが、

今日のオンライン・ニュースによると、カリナンがウォーレン・ビーティーに誤って主演女優賞の封筒を渡したのは

現地時間で午後09:03。 ところが彼、なんと午後09:05に、オスカー像を獲得してステージを下りてきたばかりの

エマ・ストーンの画像をツィートしていました。 ちょうどその頃ステージ上ではウォーレン・ビーティーが渡された

封筒を開封し、目を白黒させていたわけです。

 

このツィートはその後削除されましたが、時すでに遅し・・・・・

 

 カリナンはアカデミー賞担当になって以来、有名俳優・女優たちと写真を撮ってはせっせとSNに載せていたそうです。

 

 2014年の授賞式の前に、ふざけてカリナンのケースを奪おうとするケイト・ブランシェット。 ケースの中の主演女優賞には

彼女の名が記されていました。

 

 有名人と一緒の画像だけでなく、ステージ裏での有名人の画像もSNに流していたカリナンは、かなりの有名人好きだった模様。

「誰もが憧れる最高級のハリウッド・スターたちにこんなに接近できるボク」 に酔っていたのかな?

  

 3時間半から4時間にわたる授賞式の最中は与えられたポジションを守るのが原則だったにも関わらず、カリナンとルイツが一緒に

いたところも画像で確認されています。 持ち場を離れたのはどっち・・・? (私はカリナンに一票!)

 ステージ裏で働くスタッフは、有名人の画像・映像の撮影やSNへのその流布は、禁止こそされていないものの、「しないよう」 要請

されているそうです。 でも今度のことが原因で、一切禁止になるかも。

 

ダナウェイとビーティーは、一貫して 「自分たちの責任じゃない」 と主張しているようです。 間違った封筒を渡されたのだから、

確かに、彼らが原因ではありませんでした。 でもねぇ・・・

お年寄りに鞭打つ意図はまったくありませんが、でももし二人が、見た目よりも実用を取って老眼鏡をしていたら?

 

 上右のカードは作品賞のものですが、主演女優賞のものにだってアンダーラインの下に “主演女優賞” と入っていたはず。

老眼鏡を着けていれば、それに気づいて(これは妙だぞ???)となり、機転をきかせて 「ジョークにするつもりはないのですが、

もしかしたら不手際があったかもしれないので、ちょっと時間をいただけませんか?」 と言ってスタッフに合図し、

誤りが判明し、正しい封筒が二人に渡されることで、混乱を最小限に抑えることが出来ていたのでは?

やはり、はっきりしっかり見えるのは大事なことですね。

 

あ~あ、やっちゃいましたね、カリナンさん。 PwCが公言するところの 『マット・デイモンのそっくりさん』。

(マット・デイモンがどう思うかは知らないけど。)

 

皮肉なことに、授賞式前のインタビューで、カリナンは言っていたそうです:

「オスカー授賞式の88年の歴史において、間違いが起きたことは一度もありませんでした。もし間違いが起きたら、我々は正しい

受賞者が速やかに発表されるよう全力を尽くします。授賞式を一時的に停止する、我々がステージに上がる、あるいはステージ・

マネージャーに合図するなどして。でもそれは、まず起こり得ないことです。我々はスポーツの大きなイベントにおけるレフェリーの

ようなものです。すべてうまく行けば、誰にも存在を気づかれることはありません。」

 来年のオスカー授賞式では、彼の姿を見ることはないでしょうね。 でも3人のお子さんはもう成人しているし、カリフォルニア州

マリブにある推定3億円超えの豪邸にお住まいだそうだから、何とかサバイバルするさ!

 

誰かが負傷したわけではないし、ましてや死んだわけでもないし。 過ちは誰にもあるもの。

今回のことを教訓に、今後はしっかり仕事してくださいな。

 

 実は過去に一度だけ、似たような間違いがあったそうです。 1964年にサミー・デイヴィス・Jrが間違った封筒を渡され、

間違った最優秀音楽賞受賞者を発表してしまったそうです。

 

信じ難いことに、PwCがアカデミー賞の投票結果を捏造したとしても、アカデミーには知り得ない のだそうです。

同様にアカデミーが、投票結果の詳細――大多数決だったのか接戦だったのか――などを知ることもありません。

授賞式が終わると投票用紙はすべて破棄され、アカデミーでさえ投票用紙を見ることはなく終わります。

過去80年以上にわたって、それほどの信頼関係を築いていたんですね。 でも・・・

 アカデミーのお偉方は大憤慨しているし、PwCは非を全面的に認めて謝罪のコメントを二度も発表しているし。

来年のアカデミー賞の取り扱いは、別のサービス企業が委託されることになるかな・・・?

 

*       *       *       *       *       *       *       *       *       *

 

 ここからは、オマケ。

今でも仲睦まじい奥さんと授賞式に現れたマイケル・J・フォックスは、同じくカナダ出身で最優秀男優賞候補のライアン・ゴズリング

エールを送りました。

 

授賞式ではセス・ローゲンとともにステージに置かれたデロリアンから登場し、観客のスタンディング・オベーションを受けたそうです。

 

グローガンが穿いているのはナイキ・マグ(Nike Mag)といって、バック・トゥ・ザ・フューチャーIIに登場した未来のスニーカーを

ナイキが模造した限定品。 2011年と2016年にリリースされ、売り上げから大金が マイケル・J・フォックス パーキンソン病

リサーチ財団 に寄付されたそうです。 ナイキ・マグは限定品だったため現在も人気が高く、eBayで1万ドル以上の値が期待できる

ものもあるとのこと。

 

 バック・トゥ・ザ・フューチャーの大ファンだというグローガンは、「ナイキ・マグをはいてマイケル・J・フォックスと一緒にデロリアンに

乗ったなんて・・・ 僕のバケツ・リストはほぼ完成だ」 とジョークを飛ばしました。 そして二人は、最優秀編集賞を贈呈。

 

 

もうひとつのオマケです。

Best Actor in a Supporting Role (最優秀助演男優) ならぬ Best Supported Actor (最高にサポートされた男優) として

注目を集めたライアン・ゴズリング。 理由? 彼が授賞式に同伴したのがグラマーな実のお姉様(40歳)だったから。

  

 「彼女とデートしたい!」 というツィートが氾濫したそうです。

 

 

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