2日続いたロースト・ディナー内の画像にあった、丸いボール状の食べもの。
これについてコメント欄で質問をいただきましたので、今回はこの食べもの=スタッフィングについて書きますね。
このスタッフィングは、オットーと私が担当した添えものでした。とはいっても、インスタント製品。
お肉屋さんにあった“ワイルド・マッシュルーム風味”に惹かれて買って、作ってみたんです。
が、実際に食べてみたら、味は・・・というか味がなくて、「どこがワイルド・マッシュルームだっちゅーんじゃい!」と言いたくなるような味でした。
もう二度と買いません。
ちなみに、同じ記事の別の画像にも、写っていたんです、スタッフィング。こちらは義妹の手作りで、こっちの方がずっと美味しかった!です。
(ブレッド・ソースについても後でちょこっと書きますので、お見知りおきを。)
スタッフィングは「詰める」を意味する動詞 stuff から来ています。
ちなみに “I'm stuffed.” と言うと、「お腹いっぱいでこれ以上食べられない」を意味します。
スタッフィングは、もともとは、ローストする肉類にする、詰め物のことでした。たとえば鶏や猟鳥類は、内臓を取り除いてしまうと、中に空洞ができますよね。
その空洞にパン粉や香草や香辛料を混ぜたものを詰めて肉をローストし、焼けたら切り分けて肉に添えて、いただくわけです。
ところが近年、肉の中心部に詰められたスタッフィングに十分火が通ってバクテリアが死滅する前に肉が焼きあがってしまうのではないか=
スタッフィングが十分加熱されるまで待っていると、肉を焼きすぎてしまうのではないか。
という懸念が広がってきたため、スタッフィングを肉には詰めず、丸めてボールにしたり耐熱皿に敷き詰めたりして
肉とは別個に焼くやり方が広がってきたようです。
メンド臭がりの人や時間がない人のために、スタッフィングのインスタント製品が出回っていますので、一番有名なメーカーの画像を貼っておきます。
セージ&オニオンが基本の風味ですが、ちょっと変わったものも出ているんですね。
セージ&オニオンのがうちのキッチンにもあったので、作り方を見てみると:
箱の中味をボウルに空け、熱湯を足し(ここでバターを加えてもよい)、5分おいてからよく混ぜ合わせて耐熱容器に詰め、あるいはボールに丸め、
オーブンで焼くだけで出来上がります。でもこれは、もちろん肉ヌキのスタッフィング。
私はスタッフィングが好物なので、ときどき手作りします。どこで見つけたか忘れちゃったけど、下が私がよく使うレシピです。
私はこのスタッフィングを丸い焼き皿で焼き、ケーキみたいに切り分け、茹で野菜と一緒にオニオン・ソースをかけていただきます。
つまり本来は添え物だったスタッフィングが、主菜に昇格したわけ。でもソーセージミートが入っているから、十分主菜になるのです。
セージとオニオンのスタッフィング
みじん切りにした玉ねぎ大2個・セロリ3本・食パン350gとソーセージミート250gをボウルに合わせる。
ドライ・セージとドライ・パセリ各大さじ1、塩こしょう適量と溶き卵1個分を加え、よく混ぜ合わせる。
マーガリンを塗った耐熱容器に敷き詰め、あるいはボールに丸め、190℃のオーブンで火が通るまで焼く。
上のレシピにはソーセージミートが入っていますが、もちろんスタッフィングは、ソーセージミートなしでもいいのです。
実際義妹が作ったスタッフィング・ボールには入っていませんでしたが、それでも十分美味しかったです。
ソーセージミートは、パック入りのがスーパーで買えます。が、・・・
何となく脂肪分が多いような気がするので、私は普通のソーセージを買って皮を裂いて中味を取り出したものを使います。
長方形に焼いたり、ボールにしたり、パウンドケーキみたいに焼いたり。こうして見ると、スタッフィングって、
『あまり肉肉していないハンバーグだね』みたいな気がしてきました。
スタッフィングに入れる材料は、他のみじん切り野菜とか好みのハーブとか香辛料とか、刻んだナッツとかドライ・フルーツとか、好きなように冒険できますね。
イギリスではクリスマスのロースト・ターキーに添えるスタッフィングには、クリスマスに欠かせないクランベリーや栗を混ぜる人も多いそうです。
混ぜ合わせたスタッフィングを肉に盛り込んだり、面積のある肉に巻き込んだり、あるいはパイ・シートに包んでみたり。
いろいろとバリエーションが楽しめそうです。(メンド臭がりの私はやる予定はありませんが。)
Stuffing の英語版ウィキを日本語版にすると、ファルス(料理)という肉詰め料理的な解説が出てきてしまいます。
イギリスのロースト料理に添えられるスタッフィングはそのほんの一部分でしかないので、もっとそのものの解説がないものかと探していて、
理想的なサイトを見つけたので、リンクを貼らせていただきます。
上のサイトは、日本に住んだことのある英国人男性チャールズ・ボズワースさんによる日本語のサイトのようで、日本語がお上手!
チャールズさん、「日本ではソーセージミートは手に入りにくいと思うので、挽き肉とみじん切りベーコンで代用を」とのアドバイスまでくださってます。
チャールズさんは、ドライ・セージでなく生のセージの刻んだものを使っておられますね。私は使いきる前にダメにしてしまうため
生のハーブはめったに買わないんですが、一度生のセージを買って、スタッフィングを作ってみようかな?
というわけで、スタッフィングのご紹介でした。よろしかったら、ぜひお試しあれ!
* * *
ここで、記事の最初の方に出てきたブレッド・ソースについても書いておきましょう。
ウィキはこちら。
ブレッド・ソースは私、全然好きじゃありません。なのでクリスマス・ディナーの際も、義妹が作って持ってきてくれましたが、
スルーしました。オットーに言わせると、「もともとは古く固くなったパンを使い切るために作られるようになったんじゃ?」とのこと。
多少風味がついているもののほとんど味はなくて、牛乳でふやかしたパン粉といった感じで、(・・・なくていんじゃね?)と、正直、思います。
ちなみにこれも、インスタント版が出ているようです。私は嫌いなので買ったことありませんが。
ソースの話のついでに、私が未だに慣れることのできない、そしておそらく今後も一生慣れないであろう、食習慣のことも書かせてください。
肉料理に添えられるソースについてです。
イギリスでは豚肉には、甘いアップル・ソースが添えられます。
クリスマスの七面鳥のローストには、甘いクランベリー・ソース。
ラム肉には、酸味のきいたミント・ソース。甘さは控えめなものの酸味が強すぎて、これも私は好きになれません。
ミント・ソースすら好きになれない私には、甘いソースを肉料理にというのは、ハードルが高すぎます。
アップル・ソースもクランベリー・ソースも、私がこの先使うことはないでしょうね。
イギリスに生まれていれば、どのソースも抵抗なく受け入れられていたのかなぁ・・・?
* * *
《 オマケ 》
ムスメのフィンランドみやげのひとつは、Cloudberry のジャムでした。日本名はホロムイイチゴというんですね。
イギリスにはない果実のようです。が、残念ながら、一度トーストに使ったきりで、残りは捨てました。
理由は、中に入っている種が固すぎたこと。
イチゴとかラズベリージャムの種なら気にならないんですが、これは固すぎていつまでも口に残りました。
大抵のものは食べきる私ですが、これにはギブアップ。ラズベリージャムの種すら嫌がるオットーには到底ムリでした。
フィンランド旅行を予定されている方は、どうかご注意くださいね!