2月2日(日)の午後2時頃、ロンドン南部ストレッサムにおいて、ナイフによる無差別襲撃事件が起こりました。
ロンドン警視庁による、ツイッターを通じての第一報。
犯人は単独で、近くの店から盗んだナイフを使って50代女性一名と40代男性一名を刺したあと、警官に追われたのちブーツ(薬局)の前で
射殺されました。
(ビデオを見たところ、私服警官らしいお二人、犯人を射殺後後退していました。自爆を警戒してでしょうか?それともこうするのが普通?)
まもなくバイクに乗った私服警官も駆けつけたそうです。警官の登場がやけに早いと思ったら、この犯人、テロ対策で警察の監視下に
あったそうです。つまり警官に尾行されていたわけですから、そりゃ早いはずですね。
犯人はアルカイーダのプロパガンダをサポートするなどのテロ関連の罪で有罪となり、3年4ヶ月の禁固刑を受け2018年12月から服役しました。
しかしなぜか、刑期の半分もつとめないうちに、仮釈放委員会にかけられることもなく、1月23日に仮釈放されました。事件を起こしたのはそのわずか10日後。
ロンドン警視庁のテロ対策本部は、犯人が脱過激化しておらずテロ行為を起こす可能性が高いとして、仮釈放された犯人を即監視下においたそうです。
仮釈放からわずか2日後の1月25日、犯人は、事件に使ったナイフを盗んだ店――ナイフやハンマーなど凶器になり得る品を売る――に入りました。
そのため“近々事件を起こす可能性あり”として、25名にのぼる覆面警察官をシフト制で使って24時間監視していたそうです。
そのおかげで、最初の襲撃から1分以内(!)に犯人射殺に至ったわけですね。
射殺された男は、サデシュ・アマン、20歳。
胴体に自爆テロ用の爆弾のようなもの(=金属製の筒)を付けていたため警戒されましたが、偽物でした。
たった20歳の若い命を、こんな風に、無駄にして・・・
ナイフを盗んだアマンが襲撃を始める前に取り押さえられなかったのか?という疑問は当然湧きますが、きっと咄嗟のことで、
私服警官たちもすぐさま対応はできなかったのでしょう。
昨年11月にロンドン橋で起きたナイフによる無差別テロ事件(死者2名)で武装警官に射殺された犯人も、仮釈放中でした。
罪を犯した人間の更生と社会復帰をサポートすることはもちろんとても大切ではありますが、
過激思想に染まりきった人間のそれは、難しいですね。
過激思想は捨てたフリして仮釈放されてしまえば、何か事件を起こすまでは、手を出せないのですから。
今回の事件現場の位置関係をみるため、グーグル・マップを拝借しました。
ブーツのストレッサム・ハイ・ロード店は、ピカデリー・サーカスから南に8.5kmほどのようです。
ロンドン南部のこの辺りは、有色人種の多い庶民的な地区のようです。過激思想による無差別テロを起こすなら、リッチな白人が
多そうな地区を選びそうなものですが?犯人、警官の尾行に気づいて怒り、衝動的に凶行に走った?
歩道に残された、被害者が手当てを受けた名残り。
無差別襲撃の二人の被害者は、幸い命に別状はないそうです。
死者が出なかったのが、せめてもの幸いでした。
ロンドン警視庁と迅速に犯人を射殺してくれた警察官たちに感謝します。
被害に遭われたお二人の、速やかな回復をお祈りします。