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Channel: ハナママゴンの雑記帳
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ノース・ブラザー島 (後編)

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《 ノース・ブラザー島 (前編) からのつづき 》

 

下の画像はおそらく、弟分のサウス・ブラザー島から見たノース・ブラザー島。

(今回の記事はノース・ブラザー島に取り残された建物の近年の画像が主なので、ご興味ない方はスルーしてくださいね

 

1963年に麻薬中毒の若者のリハビリセンターが閉鎖されて以降、ノース・ブラザー島の有効利用法が、あれこれ思案されました。

ゴミ廃棄場にする、遊園地を建設する、カジノにする、塩の貯蔵地にする、発電所を建設する、ホームレスの人々のための住居にする、

ライカーズ刑務所の延長として使う、あるいは島そのものを売却してしまう。案はいろいろと出たものの、どれも実現には至りませんでした。

 

その間ずっと荒れ果てるままに放置された島には、藪や雑草が繁殖。人が立ち入らない環境は、野鳥にとって理想的な生息地となりました。

1987年に行われた環境調査で、ノース・ブラザー島にもサウス・ブラザー島にも、ゴイサギBlack-crowned night heron)が棲みついていることが

確認されました。

2001年からノース・ブラザー島を管理するようになったニューヨーク市公園&レクリエーション部は、島を一般人には立ち入り禁止の

自然保護地とすることにし、ニューヨーク市におけるゴイサギの生態活動観察を開始しました。

 

下の図にある2005年の環境復元作業というのは、建物や道路を補修するといったものではなく、朽ち果てた木を取り除く、

繁殖しすぎた野生植物を適当な程度まで刈り取る、といった自然保護のための消極的な作業だったそうです。

     

しかしながら2005年、ノース・ブラザー島のゴイサギがなぜか前年比で15%減少、代わりにサウス・ブラザー島のゴイサギ生息数が上昇。

2008年にはゴイサギがノース・ブラザー島を完全に棄て去ったことが確認されたそうです。ツバメはその後も、同島の廃墟に巣をつくって生息を

続けていましたが。ちなみに同島にはネズミ、チップマンク、ドブネズミなどの野生動物はおらず、一握りのアライグマが確認されたのみだそうです。

2015年の報告でも、ノース・ブラザー島にはゴイサギの生息は確認されませんでした。

代わりにゴイサギはサウス・ブラザー島に、ダイサギ、小型シラサギ(Snowy egret)、ミミヒメウなどとともに、その後も続けて生息しています。

 

ノース・ブラザー島とサウス・ブラザー島は現在も引き続いてニューヨーク市公園管理部に管理され、巣をつくって生息する野鳥のための

自然環境保護地に指定されています。上陸には市当局の許可が必要なうえ、たとえ許可を得ても、勝手に上陸はできません。

上陸が危険を伴うことから、公園管理部の役人が同行しなければならないのです。

 

下の画像の遠く左手に見えるアーチ状の橋は、ヘル・ゲイト橋。火災を起こしたスローカム号がやって来た方角です。

ヘル・ゲイト橋は1916年に完成したので、スローカム号が火災事故に遭った当時はまだ存在しませんでした。

 

西側のフェリー桟橋近辺から上陸すると、まず遺体安置所(1929年建設)と、煙突が目立つボイラールーム(1885年建設)が迎えてくれます。

 

下の2画像は、遺体安置所の屋上から撮影されたそうです。石炭貯蔵庫は1904年の建築。

 

 

1926年に建築された、医師用住居(Physician's Home)。

  

  

 

位置関係を確認するため、ここで略図をば。(私って親切

 

1943年に完成しながら一人の結核患者を治療することもなかったという結核病院。(もったいない~!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦後に退役軍人とその家族用住宅として機能していた際は保育所として使われたという、1885年築の男性用寄宿舎(Male Dormitory)とその内部。

    

  

 

スタッフ・ハウス(Staff House)、1906年建築。

 

 

看護師住居は、1905年の建築。コの字型になった立派な建物です。この記事の冒頭の画像に見える建物はこれだと思うんですがどうでしょう。

 

 

看護師住居の西側にはテニスコートが隣接していたそうです。高い金網のフェンスはそのためですね。

 

 

 

略図ふたたび。(

 

教会(1906年建築)は、前面だけを残して倒壊しちゃってますね。撮影のセットみたい。

 

下左はガレージと記されていましたが、・・・ホント?小さすぎる感じがしますが、大半が倒壊しちゃったのかな。

 

びっしり一面ツタ?で覆われてしまったテニスコート(下左)。下右は、略図にある水槽でしょうか??

 

 

これより以降は、建物の外部・内部の画像がごちゃ混ぜになっていますのでご了承ください。

 

画像に説明がなかったので、どれがどの建物なのやら、わかりませんでした。

 

病院内部らしい画像もけっこうありました。

 

窓のすこし手前に金属のフェンスが設けられ、ロックされていたのがわかります。患者さんの自殺防止のためでしょうか。

  

  

 

大量に散らばった本は、病院時代の患者さんのためのもの? それとも麻薬中毒の青少年の?

 

 

 

 

 

最後にもう一度、略図です。続けてノース・ブラザー島の過去と近年(は主にグーグル・マップ)の画像を並べてみました。

 

 

 

 

下左はいつ撮影されたものか不明ですが、島のジャングル化が結構すすんでいます。

 

(短いものですが、コチラのページでドローンで撮影したノース・ブラザー島の映像が見られます。)

 

ノース・ブラザー島の位置を、最後にもう一度確認。

ルーズベルト島は、ノース・ブラザー島に天然痘隔離病棟ができる前に天然痘病院があった島です。

 

近年ノース・ブラザー島を一般に開放(人数制限を設けて)しようという動きもありましたが、結局ボツになったようです。

ノース・ブラザー島はこのまま、無人島として存在を続けそうですね。

というのも、海面が毎年上昇を続けているため、ある研究チームによると、「ノース・ブラザー島は2100年までには完全に水没する」

可能性が大きいそうなので。

 

というわけで、ここ半月ほど、ノース・ブラザー島の廃墟の画像に魅入られておりました。

廃墟マニアであるつもりはないのですが、廃墟って、なんというか、コワオモシロイというか・・・

でも暗くなってから一人でノース・ブラザー島を探検するのは、絶対に無理っ!

 

*       *       *

 

廃墟で思い出すのは、長いこと未解決だった、坪野鉱泉2女性失踪事件です。

1996年5月5日 「肝試しに行く」 と車で出かけたまま車ごと行方不明になっていた2人の19歳女性。

ご興味ある方のため、私が愛読している事件関係に詳しいブログのリンクを貼らせていただいておきます。

雑感 - 富山県魚津市・坪野鉱泉2女性失踪事件の記事5件  (スクロール・ダウンして一番下のものからお読みください)

24年後の今年!ようやく遺体が発見されたんですね。

24年間待ち続けたご家族の気持ちを思うと、かける言葉もありません・・・。

若くして亡くなられたお二人のご冥福を、お祈り致します。

 


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