新型コロナのパンデミックの当初からお馴染みのこの方。
医師であり疫学の専門家でもある、クリス・ウィッティ教授(Chris Whitty)です。
感染者数が急速に増加していた頃は、政府の首席医療アドバイザーとして、連日アップデート会見に出席していました。
“Next slide, please!” と言ってデータを示しながら、冷静沈着に簡潔に現状を説明するウィッティ教授は、
国民の間でじわじわと人気を集めたようです。
中には、庭にウィッティ教授の案山子を立ててSNSに投稿した人まで!
パンデミックが始まって以来、不眠不休とまでは言いませんが、超多忙な日々を送ってこられたであろう教授。
私のような科学馬鹿には、ただただ尊敬の念しかありません。
そんなウィッティ教授に、見ているこちらが胸糞が悪くなるような出来事が起こりました。
6月27日(日)、午後7時20分頃。
ロンドンのセント・ジェームズ公園を歩いていた教授が、2人の若い男にからまれたのです。
その時の模様はこちら。
この動画の撮影後、付近をパトロールしていた警官が介入し、ウィッティ教授に怪我がないことを確認し、馬鹿者たちの住所氏名を記録し、
2人の行為を厳しく注意してその場を去るように命じたとのこと。ウィッティ教授は2人を告発することを望まなかったそうです。
この動画はSNSで拡散され、ニュースにもなり、警察が捜査に乗り出し、ジョンソン首相はこの2人を「卑劣なならず者」と非難しました。
その後2人の身元が公表されました。ルイス・ヒューズ(下左・23歳)と、ジョナサン・チュー(下右・24歳)でした。
2人はその日、飲酒しながら『ワクチン反対デモ行進』に参加していたそうです。
ヒューズは不動産会社に勤務していましたが、ニュースで動画を見た上司によって、解雇されました。(ザマミロ! )
ヒューズの弁明:
'If I made him feel uncomfortable, which it does look like I did, then I am sorry to him for that.
'To be honest I just wanted a selfie with Chris Whitty to show my mum. There was no malicious intent, I didn't want to upset him.'
(不愉快な思いをさせたのなら、そして(動画から)そのように見えますが、申し訳なく思います。
母に見せるため、クリス・ウィッティと自撮りしたかっただけなんです。悪意はなかったし、彼を狼狽させる気もありませんでした。)
チューの弁明:
'Sometimes things seem a good idea and really they're not. 'We didn't cause any harm to him. We just wanted a selfie.'
(良いと思った思いつきが実はそうではなかったことは時々あります。彼には被害は何もなかった。我々は自撮りが欲しかっただけです。)
昨日のオンライン・ニュースには、チューの母親からの謝罪と弁明がありました。
チューには「自閉症とADHDがあり、状況にふさわしくない行動に出てしまうことがときどきある」と。
このニュースがらみで知りましたが、ウィッティ教授はこれまでにも、「新型コロナは政府の陰謀」とする陰謀論者や、
ロックダウン反対グループやワクチン反対グループに、嫌がらせを受けたことがあったそうです。
数週間前にはオックスフォードの路上で「コロナウィルスについて嘘をついた」と罵られたし、
若者にからまれてその様子を撮影した動画がSNSに流されたし、
今回の事件の前日にも、ロンドンの自宅の外でロックダウン反対派に「売国奴」「人殺し」などと叫ばれたそうで・・・
何とまぁ、嫌な世の中になったものだこと。私には理解できません。
国にとって国民にとって最善の結果になるよう祈りつつ舵取りをしてくれている人たちに、どうしてそんな真似ができるのか。
後知恵で批判することほど簡単なことはないですよ!
ロックダウンを終止したあと感染が拡大すれば「終止は早すぎた」と非難され、
感染が拡大しなければ「もっと早く終止すべきだった」と非難され。
小心者の私には、もしそれなりの頭脳があったとしても、とてもじゃないけどやってられない任務です。
新型コロナのパンデミックを信じないのも、陰謀だと思うのも、ロックダウンやワクチン接種に反対するのも、もちろん個人の自由です。
でも、個人攻撃はするな~~~!
動画を見た限り、この2人は告発されるべきと私は(オットーもですが)思っていました。
だって、男性が相手の同意なしに女性の体に触れたら、それは傷害罪(触れた箇所によっては強制わいせつ罪)ですよね?
だったら男性が相手の同意なしに男性の体に触れた場合だって、傷害罪となっていいはず。と思うからです。
そしてウィッティ教授は明らかに、2人の馬鹿者との『交流』を望んではいませんでした。
すると今日になって、朗報が入りました!
ヒューズ(23歳)が Common Assault (一般的な暴行罪)で告発されたそうです。
チューの方は、告発されるかどうかはまだ未定のようですが。
仕事を失った上、前科者になるかもしれないヒューズ。もうこんなに笑ってはいないでしょうね。
一緒に自撮りがしたかったのなら、ウィッティ教授に近づいて丁寧にお願いすればよかっただけのこと。
あんなヘッドロックのような真似をした以上、弁解の余地はありません。
酔っていたから?誰かに無理矢理口をこじ開けられて飲まされたわけではないでしょう?
馬鹿な行為に出るまで飲んだ自分のせいなのだから、自業自得です。
コイツらが私の息子だったら、「この馬鹿たれがっ!親に恥をかかせてっ!!」と尻のひとつやふたつ、
ひっぱたいてやるところですよ。
ウィッティ教授は本当に災難でした。
今回の2人はただの馬鹿だったからまだいいけれど、馬鹿の中にはナイフを忍ばせている人間もいるかもしれないし、
テロ事件はいつどこで発生してもおかしくないですから。
ウィッティ教授本人は望まないかもしれませんが、今後は彼をはじめとする政府の重要な任務についている人々にも、
警備がつくようになることを望みます。