元日の午後。
義母宅に帰郷していた義弟②とオットーは、義弟②のミニバンで、車で片道一時間強かかるところに、
室内トイレをピックアップに行きました。
(義弟②は以前荷物の多いパラグライディングをやっていたので、今も普通の乗用車ではなくミニバンを運転しています。)
二人が持ち帰ったのは、シートをかぶせてしまうと普通の椅子にしか見えない家具調の、こんな室内トイレ。
記事中の画像はすべてネットから拝借したものですのでご了承ください。
室内トイレといっても、いくつかタイプがあるんですね。
私が初めて見たのは、見てくれよりも機能性を重視したこの タイプ。
ヘルスケア・アシスタントとして10年半高齢者用精神病院で働いていたときに見たものです。
プラスチックと金属製なので、あとあと掃除がラク。
キャスター付きなのでシャワー椅子としても使え、腕の部分は邪魔になれば跳ね上げて後ろにまわしておくこともできます。
住み込み介護を始めてから数軒の顧客さんのお宅で見たのは、下のタイプ。
病院のものほど味気なくはないけれど家具調ほどは見た目が良くない感じの。(←個人的意見です、すみません。)
このタイプにも、腕の部分を後ろにまわしておけるものがあります。
室内トイレ、イギリスではコモード(Commode)と言います。コモード・チェアー(Commode chair)を略して。
日本では何と呼ばれているのか興味をもったので、調べてみました。
ポータブルトイレ(イリーゼ / 快適空間スクリオ)が最も一般的なようですが、楽天市場では英国英語そのままに、
室内用トイレ コモードチェアー。TOTO では水洗式の、ベッドサイド水洗トイレまで出ているんですね。これはいいな!
(私は室内トイレと呼ぶのが好きなので、ここでは室内トイレで通します。)
* * *
今回義弟②は、クリスマスの前々日(12月23日)から義母宅に帰郷したのですが、
ある『気づき』を、こっそりオットーに報告してきました。
義母(93歳)が、夜間はバスルームのトイレを使う代わりに、寝室でバケツを使っていると・・・。
しかも翌日そのバケツの中味を空けるだけでちゃんと洗浄しないから、「臭っている」と・・・。
私がそこはかとなく漂う尿臭に気づいたのは、9月末頃のことでした。義母の近くに立つと、臭うような・・・
最初は気のせいかと思いましたが、その後も尿臭は絶えることなく、しかもだんだん強くなっていくような・・・
クリスマス前には、義母が居間からキッチンに行っても、居間の尿臭が消えることなく残っているような・・・
でもオットーは気づかないというし、定期的に義母の寝具カバーを洗濯している義妹もオットーに何も言っていないそうなので、
たぶん私の嗅覚が、病院で働いていたために人一倍鋭くなっているのだろうと思いました。
義弟②からバケツ使用の件を聞いたオットーが義妹に訊くと、義妹はすでに知っていたそう。
寝具カバーもかなり前から臭うようになっていたそうです。
(そういう大事な情報はすぐにシェアしてよね~!)と、オットーも私も強く思いました!
私が気づいた尿臭は、おそらくはきちんと排尿後の後始末ができていないためでは。
93歳の義母、屋内では未だに自力で、杖を使うなり家具づたいなりして歩いていますが、
それでもゆっくりと着実に、歩行能力は衰えてきています。
そんな状態で夜間、ベッドわきのバケツで用を足すとなると、バランスを崩して転倒するのは時間の問題では・・・?
そこで室内トイレ導入を決め、オットーと義弟②と義妹がネットでサーチしました。
品物が品物なので私は新品がいいだろうと思いましたが、義妹が未使用の家具調タイプが『譲ります』サイトに出ているのを発見。
未使用とはいえ中古品なので新品の半額以下の120ポンドとお買い得だし、引き取りにいける距離です。
そこで売り主にコンタクトを取り、義弟②とオットーが元日にピックアップに行ったのでした。
義弟②のバンならスペースがたっぷりあるので。
義弟②は一人で行くと言いましたが、オットーは話し相手になるべくお付き合いしました。
帰り、義弟②がオットーを降ろしに立ち寄ったとき、私も室内トイレを見せてもらいました。
椅子の脚にふたつほどキズがありましたが、トイレ部分は新品そのものに見え、本当に未使用のようでした。
売り主は高齢男性で、奥様のために室内トイレを購入したものの、奥様の認知症が進行してしまい
結局一度も使うことはなかったそうです・・・。
義母のために買った室内トイレですが、じつは義母には事前に相談はしませんでした。
クソ野郎の義父(故人です)に「散財は悪」を刷り込まれてきた義母は、自分に必要なものですら購入したがりません。
たとえば掃除機。古ぼけて吸引が悪く、ホースの内部にはなにやら固まった液体が厚くこびりついています。
自宅のものならとっくの昔に棄てて新しい掃除機を買っているところなので、もう2年以上も前からオットーは義母に、
新しいのを買うよう勧めています。が、義母は「もう私は長いことないから、今あるやつで大丈夫」と・・・。
そう言う義母自身は、今ある重いアップライト式はもう自分では使えないから、掃除機をかけるのはオットーか義妹なんですけど?
その二人が「新しいのを買って欲しい」と頼んでいるんですけど?
将来義母がどうしても必要になってしぶしぶ訪問介護ヘルパーさんを入れることになったとしても、あの掃除機では仕事になりませんよ?
私がヘルパーだったら、「あのお宅は掃除機がボロでまともに掃除できないのでもう行きません」と言いますよ?
『高齢者のあるある』でしょうか。
義母は義父と違って道理のわかる人だったはずなんですが・・・。
義母がバケツを使っていたこと、オットーと私は全然気づきませんでした。
義母を訪問しても、おしゃべりしたりオットーが義母の郵便物をチェックするのは、いつも居間なので。
あとはキッチンとか、ゴミ管理をチェックするためさりげなく外廊下に入るくらい。
家の裏手にある寝室までは、理由がないので入ることはなかったのです。
義母は昔の人なので(←決めつけ)、バケツを使っているなどとは、特に息子には、言いたくなかったのでしょう。
そんな義母なので、室内トイレ購入をすすめても、おそらく「私は(バケツで)大丈夫よ、必要ないわ」と断ると思われました。
でも足腰が弱る一方で二度と強くなることはない義母には、バケツより腰掛けて用を足せる室内トイレの方が安全なのは明らか。
そこでオットー・義弟①と②・義妹で相談の結果、とりあえずは買ってみてしまうことになったのです。
(オットーは4人兄弟の一番上。義弟①はもう30年も外国で教師生活をしていてここ二年ほどはコロナのため帰国できていません。)
元日、義弟②は義母に「ちょっと母さんの役に立ちそうな物をネットで見つけたから出かけてくる」と言って外出したそうです。
幸い義母は、義弟②が持ち帰った室内トイレに拒否反応は見せず、その晩から使ったとのこと。
2日後にオットーと私が義母と義弟②を訪れたとき、オットーがさりげなく義母に室内トイレの使いでを訊くと、
「便利よ」とのポジティブな反応でひと安心しました。
室内トイレは120ポンド(18,600円)で義弟②が払ったので、オットーはその1/4にガソリン代を上乗せして35ポンドを義弟②に渡しました。
ということで、室内トイレは4人の子供たちからの義母へのプレゼントということになりそうです。
(先生をしていた義母の年金収入は高いので、おそらく我家の世帯収入より多いんですけどね・・・)
義母が室内トイレを受け入れてくれたようなら、次に使って欲しいのはこれです。
これは私、病院でも住み込み介護先のお宅でも、見たことがありませんでした。
オットーが見つけたんですが、新商品でしょうか。
ライナーの中におむつの中味のように液体を吸収できる物質が装着されているので、室内トイレ使用後はライナーを取り出して
上部の紐で固く縛って棄てればいいようです。バケツをきちんと洗浄していなかった義母には、これは便利。
ただ、お値段が・・・ ひとつ50ペンス(78円)ほどするので、一ヶ月30日として15ポンド(2330円)かかることになります。
義母は絶対に「高すぎる、私には必要ないわ」と言うだろうな・・・
今回の記事、センシティブな内容なので書こうかやめようか迷いましたが、書くことにしました。
だって、別に恥ずかしいことじゃない。誰にだって、「いつか来た道~」になることですから。
義父と義母を見ていると、将来の来たるべき状況に備えるためのいい勉強になります。
加齢と老衰によってこういう不都合・不具合が生じ、こういうものが必要になってくるんだな・・・と。
そんなわけで、元日早々『室内トイレGET!』がミッションとなったオットーたちでした。
今年はいったい、どんな年になるのかなぁ・・・?